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水族館
【家族 その他小説】

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水族館-1

 クイズです。突然やってくるものって、なーんだ? 答えはトラブル、どしゃ降り、そして、妹。


「おはようお兄ちゃん。入るよー」


 ノックもしないでいきなり入ってきた俺の妹。ここが兄貴の部屋だと分かっているのだから、それは別に許そう。怒ることじゃない。そう、大した問題じゃないんだ。わざわざ入ってから起動させた掃除機のバキューム音に比べれば、本当に可愛らしいものである。
 確かに兄貴はろくに掃除をしないのは認める。だが、どうしてこんな爽やかな日曜日の朝を騒がしくさせるのかな。俺の妹、もとい阿呆(ノータリン)は。俺が土曜日はゲームをやりこんでて寝るのが遅い、というのも知らないはずがない。おかしいな、なんか機嫌を損ねる様な事をやったかな。

「うっわー、きったない部屋。よくこんなところで寝られるね、お兄ちゃん」

 今朝はまだ顔も見ないうちからやけに挑発的だな、と思った。こんな時の妹(コイツ)は、大概俺に何か言いたい事を抱えている。やっぱり、知らないうちに怒らせていたのかもしれない。
 断っておくが、妹は好きですよ。好きなんだから好きだと申しているのです、はい。そんな兄貴がわざわざ妹を怒らせたりするはずがない、のだが、実際にこうして牽制している。もろに相手の拠点に攻め込んできてるから、もはやそれどころではないかもしれないけど。
 妹はわざとらしく俺の顔のすぐそばに吸い込み口を押し付けてきた。シーツが詰まってどこか情けなく聞こえるけど、やはり腹立だしい。しかし、挑発に乗ってしまったら負けだ。無視して寝よう。

「お兄ちゃーん、朝ですよー、起きなさーい。今すぐに起きなさーい」

 俺が起きないのに痺れを切らした妹がほっぺを吸い込んできた。見た目からもそれとなく伝わると思うが、痛い。おかしいな、ここまで怒らせる様な事は今まで無かったと思うんだけど……

「おや、起きないなー。おかしいなー。それとも、次はもっと刺激的な箇所を吸い込んでほしいのかなー。分かりました、じゃあやってあげます」
「はぅうううううっ?!」

 なんと、俺の可愛らしいお尻の肉を削ぎ落とそうとしてきた。考えてみたんだけど、削られた尻肉って、いったいどこにいっちまうんだろうな? まっ、俺ってバカだから分かんないんだけど。ああ、そうだな、この場合は掃除機の中だよな。
 これ以上寝たふりを続けたら次はどんなイタズラをされるのか分かったもんじゃないので、起きるしか無かった。よく考えたら明らかに俺の方が不利じゃないか、この勝負。そもそも、勝負と言えるのだろうか。


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