〈恥虐の花嫁・銭森春奈〉-6
『これこれ、ワシの春奈を瑠璃子なんぞと一緒にしてくれるな。あんな馬鹿が顔から滲み出てるような牝とは比べてくれるなよ?春奈は小汚ない便器女のような、誰でも好い糞牝とは違うんじゃからな?』
サロトは春奈の頭部の方に座ると、必死に愛撫の邪魔をしようとする肘を掴み、タムル達の“持て成し”の手助けをした。
懸命に抗う春奈の視界には、すっかり発情した三匹の顔が並ぶ事となった。
『可愛いのう春奈は……明日には美津紀を追い出して、一緒に暮らそうじゃないか』
「ッ!!!」
またも分厚い唇から、非情な宣告が告げられた……凌辱の果てに妊娠した美津紀を、不特定多数の鬼畜達の性欲処理に使おうと言うのだ。
『残念ですねえ、あんなに気に入ってたのに……まあ、使い物にならないなら、棄てるのもやむを得ませんね』
「ひ…酷いッ!!そんなの酷いよ!!」
『悪いけど、私はあの牝の何処が良いのか分からなかったわ?ただのデブじゃないの』
人間としての感情の欠落した台詞が春奈の周囲から巻き起こり、それは笑い声と共に部屋中に響いた。
勝ち気で一本気で己に厳しく、そして優しく頼れた麻里子。
思い込んだら猪突猛進で、ドジでおっちょこちょいな瑠璃子。
我が儘で気が強く、それでいて甘えっ子だった美津紀。
それぞれが掛け替えのない一人の人間であり、この世に二人と居ない大切な人……どんな理由があろうとも、快楽の為だけに人権を無視され、肉体と精神を破壊させられて棄てられるなど許される事ではない……。
(……麻里子お姉さん……瑠璃子…お姉…さん……み…美津紀……)
幼い頃の思い出が頭を過り、麻里子や瑠璃子や美津紀の笑顔が浮かんでは消えた……もう、二度と会えない……もう、あの笑顔は取り戻せない……意識が遠退きそうになる絶望に包まれた時、姉妹を殺したに等しい鬼畜達の愛撫の刺激だけが、春奈の脳天を貫いた……。
「嫌だあぁぁぁぁぁッ!!!」
先程の感覚は、きっと麻里子も陥ったものだと春奈は直感した。
逃れられぬ絶望にうちひしがれ、その激痛から逃れる為に快楽を受け入れてしまうのは、それは自らを捨て去る事になる。
こんな悪戯などに屈する訳にはいかない。
責め立てる言葉などに屈する訳にはいかない。
ここで自らを見失えば、何の為に景子達まで巻き込んで戦ったのかさえ分からなくなってしまう。
春奈は歯を食い縛り、この愛撫の刺激を遮断しようと抗った。
思わず敗北の吐息を漏らしそうになる“悪戯”に、負けまいと踏ん張った。
……と、専務は乳首から口を離して春奈の股間に手を当てると、タムルも身体を起こして愛撫を止めた。
それは春奈の決意に肩透かしを喰らわせるような、全てを見透かしたかのようなタイミングであった。