第29章 明るい笑顔の裏側にガラスの少女がいるのよ-1
「ひたぎ・・・綾乃はもう・・・意識を飛ばしてる・・・」
じゅ、じゅるる。じゅるるるる。
ひたぎは、嫌らしい音を立てて綾乃の愛液を啜ると、ゆっくりと顔を上げた。
「これが綾乃よ・・・」
「これが綾乃?」
「綾乃は普通では考えられないほどに人を深く愛してしまうの。それだけに、思いが叶わない寂しさは計り知れないほど深く、思いが叶えば失う不安に押し潰されてしまう。明るい笑顔の裏側にガラスの少女がいるのよ・・・綾乃の求めに応えるだけでは綾乃は壊れてしまう。綾乃を守るには、綾乃の求めを遥かに超えて、どこまでも愛し抜いてやらなければならないのよ」
「どこまでも愛し抜く・・・」
綾乃の狂ったように破滅へと突っ走る激しい思いを、昴は受け止めきれずに助けを求めたのだ。ひたぎの言葉を噛み締める。
「優しいあなたでは、この娘を壊してしまう。私が受け止めるしかないわね・・・今夜は綾乃を愛し抜く、一晩中、一時も休ませることなく綾乃を責め抜くわ。だから昴、あなたへのお仕置きは改めてよ」
「僕に何かできることは無いのか?」
「何も無いわ。それから・・・お仕置きまでオナニーは禁止よ!」
「・・・・・」
ひたぎの険しい表情が、優しい笑顔に変わる。
「明日の軽井沢、楽しみにしているわ。何時に迎えに来てくれるのかしら?」
「あ、ああ、9時でどうかな?車で迎えに来るよ」
「馬車じゃないの?」
「馬車じゃ時間が掛かり過ぎる。リムジンでどうかな?」
「わかったわ。8時に迎えに来てちょうだい」
「8時だね。楽しみにしているよ」