一人目の相手-3
改めて組み敷かれ、薄い夜着をはだけられると、緊張に身体が強張った。
小さな頃にはよく一緒に風呂へ入ったし、さっきみたいにロルフの変身後の裸なら今でもよく見る。でも、自分の裸を見せたのは、もう何年ぶりだろう。
ロルフの瞳はアメジスト色なのに、灯りを落とした部屋では鈍い光を帯びた金色に輝く。
「は……ぅ、く……」
少しでも声は抑えようと思ったのに、首筋や鎖骨を軽く舐められた段階で、早くも必至で歯を喰いしばる羽目になった。
シーツを両手で握り締めて全身に力を入れるが、ドクドクと鼓動が煩いほど高鳴り、頭の芯が痺れていく。
思ったとおり、想像でなく本当にロルフの手で触れられるのは、ケタ違いに気持ちよかった。
剣を握りなれている、大きく皮の硬い手の平が、素肌をそっと滑っていく。
この手をもう数え切れないほど握った。いつでも一緒にいたし、これからもずっと一緒にいたいと思っていた。
「んあぅ……あっ……んんんっー」
小ぶりの胸を、根元から絞るように揉まれ、先端に口付けられると、水揚げされた魚のように全身が跳ねる。
執拗に舐められ吸われ、甘噛みを繰り返される。発達したロルフの八重歯が肌を掠める感覚に、ゾクリと背筋が震えた。
「あ……」
シャルの膝裏に手をかけたロルフが、くるんと脚をもちあげて秘部が露になる。
そこを使うのだからと、理屈で解っているのに、羞恥がこみ上げて反射的に隠したくなる。
「……俺も初めてなんだから、すごくドキドキする。痛かったらすぐ言って」
ロルフが照れくさそうに言った。
「ここ、触ってもいい?」
「っ! き、聞かないでよ!」
ああもう。
知識はあっても初めて同士の行為は、かなりぎこちなく不安ばかりだ。
どっちかが一度くらい、予行練習してきたほうが良いんじゃなかったかと、一瞬け思ってしまった。
でもやっぱり、他でロルフに練習されるのも自分がするのも嫌だから、多少の恥は我慢するしかない。
お互いが一人目の相手で、きっとこの数は、もう絶対に増えない。