千年メダル-25
「久留米さん……!」
たまらず彼の胸に飛び込んで激しく泣きじゃくるあたしと、そんなあたしのの背中をポンポン叩いてくれる久留米さん。
前に進もうとした彼が、自分を選んでくれたことがただただ嬉しくて、あたしは久留米さんの胸元を濡らしてしまうほど号泣し、彼をもう離したくないと言わんばかりに彼の背中をガッチリホールドした。
「宗川さん、苦しい」
そう言って小さく彼は笑う。
ゆっくり腕の力を緩め、そっと顔を見上げると、歯を見せてあたしを優しく見つめる彼の顔があった。
今までも笑った顔を見せてくれたことはあったけど、こんなに屈託なく笑う彼の表情を見てると、胸が苦しく締め付けられる。
あたし、やっと久留米さんを笑顔にすることができたんだ。
でも、あたし一人の力では決してない。
芽衣子さんの、久留米さんを想う優しさがあってこそ。
そして、芽衣子さんからのメッセージを見つけるきっかけをくれたメイ。
ささやかで、温かい奇跡が久留米さんを前に進む手助けをしてくれたんだ。