千年メダル-15
「自分で逃げることを選んだくせに、ソイツが涙ボロボロこぼしながら睨み付けてくる顔見た瞬間、すげえ後悔したよ。
ソイツを散々泣かせて、離れていく後ろ姿を見て、何度も追いかけようと思った。
でも、アイツら追い詰めるほどしつこく芽衣子を想ってたくせに、今さら他の女を追いかけるような真似、できるわけねえだろ。
俺はアイツらを想いながら一人で生きていくって決めたんだから。
だから、これでよかったんだって何とか自分を納得させた。
……でも、職場でソイツの姿が目に入る度に何でか胸が苦しくなって、考えないようにすればするほどソイツのことばかり考えちまう。
もう、自分がおかしくなってく寸前だったんだ。
仕事辞めて逃げ出そうかって、そこまで考えるくらいにな。
でも、そんなある日、ちょっと不思議なことが起こったんだ」
その言葉に、目を見開いて彼を見上げると、一瞬だけ視線が絡んだ。
何となく彼の言わんとしていることがわかったあたしは、頭の片隅にあの子の姿を思い浮かべた。