千年メダル-13
「単なる同僚、そんな目でしか見てなかったつもりだったんだけど、ある日、ソイツが元カレと二人してホテル街から出てくるとこ見ちゃったんだ。
それ見た瞬間、カッと頭に血が上るくらい腹が立っちまった。
“セフレなんて止める”っつったじゃねえかって。
思わずその女のこと、思いっきり睨んじまった」
膝の中で強張っていた顔がフッと緩む。
あれは、見間違いじゃなかったんだ……。
駅前で久留米さんとバッタリ出くわしてしまった時のことを思い出す。
責めるような鋭い視線。
それはきっと焼きもちみたいなものだったんだろうか。
紅潮していく頬と、涙でグシャグシャになったあたしな顔は、とても久留米さんに見せられるようなものじゃなくて、さらに膝にグリグリ顔を押しあてながらあたしは
“ひえーん”と間抜けな泣き声を出していた。