愛のリハビリ-2
気にして考え出すと、弟や妹が父に良く似ているのに、なんで私だけ似ていないのかなあとか。皆は私は母親似だって言うけれど、・・・何かひっかるの。
夏休みにお世話になった時、とても親切にして頂いて、こんなお父さんがいいなと思ったら、なんとなく面影が麗子に似ているような気がして。 ひょっとして、母が結婚した時、お腹にもうおじさまの子供、つまり麗子がいたんじゃないかって。 母はその事を、それとなく麗子にほのめかしたんじゃないのかなって・・・
「そんな馬鹿な事を考えてたの。 考えすぎだよ。お母さんが言ったように、おじさんとお母さんは馬が合うと言うのか、ほんわか桜色程度の事はあったけれど、残念ながら、それ以上のことはなかった。気の回し過ぎだよ。そんなに気になるなら、お母さんに、はっきり聞いてみれば良いじゃないか」
思いも掛けない質問に、年甲斐もなくどぎまぎした。
「はい、分かりました」
「じゃあ、これで、万事解決だ」
「もう一つあるんです」
「驚かさないで呉れよ・・・、まあ、いいから何でも言ってみな」
麗子の話を要約すると、次の様になる。
・・・麗子は、大学のダンス部でマネージャーをしていた。
卒業を控えた、最後の練習会の後、皆さっさと帰ってしまったけれど、余り散らかっているので、麗子が一人部室に残って後片づけをしていた。
そこに同級生の部員が戻ってきて、麗子に交際を申し込んだと言う。以前から麗子が好きだったけれど、言い出せない内に卒業になってしまい、今日を逃すともうチャンスが無くなると思い、どこかで酒を飲んだ勢いで迫ったようだ。
麗子がそんな気はないからと断ると、いきなり押し倒されて、レイプされてしまったと言う。
幸い妊娠はしなかったので、運が悪かったと諦めることにしたのだが、好きでもない男の体液がお腹に入って、体中を巡っていると思うと、いてもたってもいられない・・・。
「麗子、このままじゃ、ボーイフレンドを作る気にもなれないし、結婚も出来ない。こんな事相談できる人もいないし、結局、おじさまにお話を聞いて頂こうと思って・・・」言葉尻をぼそぼそと濁して、麗子はうつむいた。
「うん、何とも酷い話しだね、かわいそうに。でも僕に何がして上げれられるかなあ」
「一寸、これしかない名案を思い付いたんです。ここじゃまずいから、後でお部屋にご一緒して良いですか」
運ばれたパエリャも殆ど手を付けずに、食事を終わった。