二人の罪-10
「しゅう、洗濯物ここに置いとくね」
しゅうの母、響子サンが、しゅうの部屋のベットにアイロンしたてのホッカホカの
服を纏めて置く。
「…あ、ありがとう」
少しして気づき、取りあえず声を返し、何処かベットに腰を下ろし元気の無い息子に
「どうしたの?何かあったの?」
響子サンは息子である、しゅうを大切に想っている…、それはある種当然なのダガ
しゅう達一家はかつて壮絶なトラブルに巻き込まれ、家庭崩壊にまで陥ったのだ
それゆえに愛する息子に多大な負担を掛けてしまい、今では普通の親子以上に息子の
幸せを願っている。
「…いや、まぁちょっと」
母の突然の質問に、少し戸惑うしゅうに、彼女は彼の横にゆっくり座り
「…別に無理に話さなくて良いわ、私も貴方ぐらいの頃はそうだったもの」
「…母さん」
「でも、どうしても苦しくなってどうしようも無い時は必ず言うのよ、貴方は私達家族に
心配掛けまいと…そこは貴方の良い所だけど、でもそれで溜め込んじゃ駄目っ!
貴方が私たちを想ってくれるように、私達だって貴方の事が心配なんだから」
母の言葉に反応したか、軽く彼女の顔に目線を移し
「ふふっ、さっもうじき夕飯よっ!今夜は貴方の大好きなしょうが焼きよっ!」
そう言い残し、夕飯の支度に向かう響子サン
母の言葉が胸に響き、頬を赤く染め暖かい目で衣服を見つめる。