メイ-1
普段から荒い運転に拍車をかけて進むあたしの車。
馬力のない軽自動車が、回転数をグングンあげてエンジンを唸らせる。
時折捕まる赤信号には舌打ちしまくって、トロトロ走る前の車をガンガンパッシングして煽っては追い越し、あたしは自宅にたどり着いた。
今までこんなことなんて無かったのに、どうして……。
メイ……!!
慌ててガレージに車を入れ、エンジンを切ると一気に静寂と闇に包まれた。
バックミラーに自分の顔がチラリと映ると、目尻の辺りがアイラインとマスカラが落ちて滲んでしまっている間抜けな顔。
でも、そんな形振りかまっていられなかったあたしは、急いで車から降りると、錆び付いたシャッターを勢いよく下ろした。
キィーッと不快な金属音が、あたしの耳に残った。