メイ-6
どんどん汚らしくなっていくあたしのカッコ。
お気に入りの小さなフリルがついた真っ白だったブラウスは、泥がついたり木の枝に引っ掛けて、裾や腕に穴が開いてしまった。
ちょっと高いボルドー色のタイトなスカートも、塀や木をよじ登るような真似を何度もしていたせいで、縫い目が破れて大胆なスリットが出来上がる始末。
こんな姿、とても他人に見せられるわけがないけれど、これだけ探しても手がかりひとつ見つけられない状況に、捜索範囲を広げざるを得なかった。
ふらつく足で大通りまで出ると、金曜日の夜のせいもあってか、辺りは飲み会帰りのサラリーマンや学生らで賑わっていた。
こんな夜遅くに女が一人でふらつけば、悪質なナンパに引っ掛かるような場所、普段なら踏み入れたくもなかったけど、今はそんな生ぬるいこと言ってられない。
でも、そんなあたしの危惧も取り越し苦労だった。
ズタボロのカッコに振り乱した髪、涙で化粧が崩れたあたしの姿はすれ違う人々の目には異形のものに見えたらしい。
そんな姿で“メイ……、メイ……”とうわごとみたいに呟きながらさ迷う不気味な女が近寄ると、みんなサーッと蜘蛛の子を散らしたように離れて行った。