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ゆえとナオさん 東京マラソン
【スポーツ その他小説】

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前編-1

明日は東京マラソンです。
ナオさんが当選しました。
もらってきたナンバーカードを、ウエアに付けて準備中です。

「東京マラソンって抽選なんですね。
みんな走らせてあげればいいのに」
「定員3万5000人のところに、倍率10倍よ」
「35万?…ええっ!?35万人も申し込んだんですか!
ランナーってそんなにいるんですか?」
「取りあえず申し込んでから、練習を始める人もいるみたいね。
35万人が一斉にスタートしたら、面白いわねー」
「3万5000人が一度に走るのだって、想像がつかないですよ」
「明日はランナー祭りよ!キャー!アフン!アフン!」
「ナオさん…子供みたいだお…」
ナオさん、ワキワキしています。
私と美さきちゃんはサポート隊です。



朝、電車に乗ると、ランナーな人がチラホラいます。
「へー、東京のはずれの方なのに、意外といるんですね」
都心に近づくにつれて、どんどんランナーが乗り込んできます。
スタッフの人も、帽子と上着で分かります。
「ランナー電車になっちゃった」

みんなと一緒に、新宿の地下道から地上に出ます。
「おわっ…すごい人…」
都庁前の広い道路は、ランナーでごった返しています。

仮装の人がたくさんいます。初音ニクがいます。
外国人がいます。色んな国から来ているみたいです。
女の人は、みんなかっこ良くて可愛く見えます。

「ナオねえ…きれいだす…」
今日のナオさんは、いつものチョンマゲではなく、
私が綺麗にアップにセットしました。
「ゴールで取材されちゃうかもね、イシシ」

「こんなにたくさん人がいたら、
まぎれて走ってもわかんないですね」
「そうだねぇ。
みんな寒くて上着を着てるから、ゼッケン見えないもんね」

「そろそろ行くね。途中のポイントで写真を撮ってね。
分かるように、パフパフーを鳴らしてね」
ナオさんはIwatchをしているので、Ipadで位置を追えます。
美さきちゃんと電車で先回りです。
オヤツも用意してます。

ナオさんは防寒着と、投げナイフのシースベルトを、
私に預けます。3月の朝は寒いです。

「用心深いと言うか、何と言うか」
「御守りよ、御守り」
ナオさんの御守りなら、私の御守りです。
デイバッグに大切にしまいます。

「はじっこは走りにくそうだから、真ん中に行くね」
ナオさんは手を振って、コースの真ん中の方に行きました。

上空には、ヘリコプターがバタバタ飛んでいます。
広い通りはランナーですし詰め状態で、
列の後ろは、どこまでだかサッパリ分かりません。
沿道にも応援団が一杯で、テレビ局のカメラも見えます。
みんな期待の表情です。

「パレードだね…毎日お祭りならいいのにね…」
もう、すぐにスタートです。


後半に続く


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