迷路〜危険な恋-3
ついにこの瞬間が訪れた。いけないことなんて僕も充分に分かっている。でも沙希さんを好きになってしまった以上気持ちを抑えることなんてできないんだ‥‥。僕は沙希さんを眺めながら腰をゆっくりと前後させた。
『‥‥ぁ‥ぁぁ‥‥んっ‥‥ぅん‥‥』
沙希さんは手の甲を口元に当てたまま喘ぎ声を抑えている。僕にはその手の薬指にはめられたリングが眩しく映った。それ故の背徳感と興奮が腰の動きを徐々に速くする。
「はぁっ‥沙希さん、あっ‥‥」
沙希さんの内腿を抑えた。スベスベした色白な太腿がM字型に開く。沙希さんの中はたまらなく熱い。あんなに拒んでいたくせに僕のモノをこんなにも絞め付ける。
「気持ちいぃっ‥‥はぁ」
『んっ‥‥はぁっぁん‥‥』
その具合にたまらず僕は突き上げる。上下に揺れる両腿。乳房も弾力に波を打つ。
『優くん‥‥うぅぅっ‥‥んん』
「沙希さん、好きだっ!」
トロンとした目で沙希さんは僕を見上げた。その表情は腰の動きに合わせて時折険しくなる。口元の手が離れ頭の方にまっすぐ伸びた。
「あっ‥‥はぁっ‥‥はぁっ‥‥」
僕は沙希さんを抱きしめた。耳元に荒い息が届くくらい夢中で腰を振る。でも沙希さんは手を僕の背中に回そうとしない。何故だ?こんなに感じているくせに‥‥。旦那さんが羨ましく思えるのと同時にわずかな嫉妬心さえ沸き上がる。
沙希さんは僕をどう思っている?なんだか沙希さんに確めたくなった。
「沙希さん、僕のこと‥‥好き?」
嫉妬心が言葉を運ぶ。
『‥‥、えっ?』
突然の問いかけに困っているのか、沙希さんは言葉を濁す。
「僕のこと好きだよね?」
腰の動きを静めてもう一度聞く。これで言わなきゃ‥‥すぐに答えてくれなきゃ‥沙希さん‥?。
『‥‥‥‥‥‥』
沈黙とともに僕の中で何かが崩れた。
「 どうして?沙希さん?」
好きだと言う返事が欲しかった。嘘でもいい、ただその言葉を聞きたかった。でも‥‥これが現実なのだ。
「そっか‥‥そうだよね?」
『‥‥違うの、優くん違うの?』
「違うって何?」
『だから‥その‥‥』
沙希さんははっきりと言わない。沙希さんを困らせるつもりはないのに、言い訳のような言葉が僕を拒絶していく。なんだか虚しくなった。