雨の歌-5
二人の息が平静さを取り戻したとき、リサは良平の胸に顔を埋め、腕を回して彼の身体をぎゅっと抱きしめた。「良平さん……」
「リサさん……」
良平はリサの髪をゆっくりと何度も撫でた。
「嬉しいです。リサさん」
「私も……」
そしてまたしばらくの間、二人は温かな静寂を味わった。
「まるで、」リサが静かに口を開いた。「『雨の歌』の第2楽章のようでした」
「え?」
「穏やかで、静かで温かく包まれるような……」
「そ、そうですか?」良平は照れたように笑った。
「良平さんにはとても失礼だとは思うんですけど、私、貴男に抱かれているとき、幼い頃、父に抱かれた時のことを思い出しました」
「お父さんに?」
「ファザコンってわけじゃないんですよ」リサは小さく笑った。「でも、貴男の腕や、胸は、私が今まで忘れかけていた絶対的な安心感を思い出させてくれます」
リサは再び良平の胸に顔を埋めて目を閉じた。「ありがとうございます……」
良平はリサの背中に腕を回して、そっと抱きしめた。
リサは不意に目を上げて、良平の顔を見上げた。良平は腕を立ててその視線を受け止めた。
「でも、良平さんって、眼鏡を外すと、本当に天道君に似てるんですね」
「修平に?」
「きょうだいだから当然ですね。でも、雰囲気は随分違います」
「言ったでしょう、僕は小心者だって」良平は困ったように笑った。「弟は突っ走り易いし、短気だし大胆だ。貴女もご存じでしょう?」
「やんちゃですよね」
「僕とはだいぶ違います」
「お兄様は大胆にはなれないの?」
リサは指で良平の胸をつっとなぞった。
「大胆になってもいいんですか?」
リサはにっこりと笑った。「まだ、第3楽章が残ってます。情熱的でピアノとバイオリンが甘く絡み合う……」
「リサさん……」
「良平さん、お願い、もう一度……。今度は隔てるものを着けずに、激しく愛して……」
「え? い、いいんですか?」
「今は大丈夫。私、良平さんと直に繋がりたい……」
少しだけ躊躇った後、良平はペニスに被せられていたゴムを取り去り、口を結んでゴミ箱へ入れた。
解放されたそれは、すでに大きく反り返り、前にも増してビクビクと激しく脈動していた。
振り返り、しばらく頬を赤くしてリサの目を見つめていた良平は突然叫んだ。
「リサ!」
そして彼はリサをベッドに押さえつけ、暴れ始めていたペニスをリサの体内深くに挿入させ、大きく前後に動かし始めた。
「あ、あああ……りょ、良平さん!」
「リサ! リサっ!」