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雨の歌
【女性向け 官能小説】

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穏やかな出会い-1

 その男は、床に敷かれたピンクのボーダー柄のカーペットの上にあぐらをかき、一人用のベッドの横に置かれた小さなテーブルの上にあった白い焼酎の瓶に手を掛け、スクリューキャップをひねった。
 玄関脇の狭いキッチンから女が氷を入れたグラスを運んできて、男の前に置いた。
 男は顔を上げて女を見た。「おまえも飲めよ」
 女は手にハイボールの缶を持って、男の隣に座り、身を寄せた。
「あたしは無理。よくそんなの飲めるね」
「炭酸で割って、レモン入れて飲んでみろよ。けっこういけるぜ」
「遠慮しとく。あたしその匂いがだめだもん」
 男は氷の入ったグラスに焼酎をどぼどぼと注いで、すぐに口に持って行った。

 ここは女の住むワンルームマンションだった。テレビのモニターにはヴィジュアル系バンドのライブが流れ、騒々しいサウンドを部屋中にまき散らしていた。

 男は女の肩を抱き、唇を突き出して女の顔に迫った。女はそれに応え、二人は激しく口同士を重ね合い、舌を絡め合った。
「あんたのキスは野性的で最高だよ」口を離した女は笑いながらそう言った。「焼酎の匂いが邪魔だけど」
「彼氏のキスじゃ満足できねえのか?」
「全然物足りない。っていうか、あの人にキスされるの、あたしあんまり好きじゃない」
「エッチは?」
「エッチも何か普通すぎてね。あんたに乱暴されながらじゃないと、あたしイけない」
「彼氏はイかせてくれねえのかよ」
「あの人からイかされたことなんか、今まで一度もないよ。いっしょにイったふりをしてるだけ。でも、」
「ん?」
「彼のクンニはなかなか感じる」
「そうなのか?」
「でも、それでも満足しないけどね。」女は後ろに手を突き、軽く伸びをして笑った。
「へえ」男はまた焼酎のグラスを口に持って行った。「そんなやつと、よくつき合ってんな。おまえ」
「だって、少なくとも稼ぎは安定してそうだし。女遊びなんかしそうにない人だし」
「おまえ、結婚する気なのか?」

 女は少し考えてから言った。
「プロポーズされたら、うん、って言うかも」
「なんだよ、それ」男は呆れ顔をした。「じゃあ、俺はそん時捨てられんのかよ、おまえに」
「結婚しても、抱いてよ」
「はあ?! おまえ、自分が言ってること、わかってんのか?」
「だって、あんたの方が、エッチは百倍気持ちいいもん」
「勝手なヤツ……」

 男は腰を上げた。「タバコ吸っていいか?」
「外で吸ってよ」女は窘めるようにそう言って、自分のハイボールの缶を慌てて飲み干し、男に渡した。「はい。吸い殻入れ」
「済まねえな」男は玄関ドアを出て行った。

 しばらくしてドアを開けた男は、狭い玄関に脱いだ自分の靴の脇に、手に持っていた灰皿代わりの缶を置き、女の元に戻るなりシャツを脱ぎ始めた。
「よし、じゃあやるか」
「うん」女は顔を赤らめた。


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