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憧れのあまさ
【女性向け 官能小説】

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あまい時間-4





目を覚ましたとき、わたしがいたのは車の中だった。
後部座席に横になって、毛布がかけてある。
驚いて起き上がると運転席には店長がいて、情けないことにすこし湿っている下着が、夢ではないことを教えてくれていた。

「店長・・・」

運転していた彼は、わたしが起きたことに気づいていなかったので、毛布を握りしめながら恐る恐る声をかける。

「あ、起きた?いや、びっくりしたよー!いきなり気絶するから!」

悪びれることもなく、なにもなかったような返事。
予想はしていた。この人はこういう人なのだ。

「すいません・・・」

力なく答えたわたしの声を最後に、会話がなくなる。
程なくして車はわたしの家の前で止まった。
先に降りた店長がインターホンを押す前に、お母さんが家から出てきて、頭をさげている。
笑顔で下げ返す店長は、お客さんの前に出るときみたいなよそ行きの顔。

「もう、恵介くんから電話かかってきてびっくりしたわー!ほら美優、ちゃんとお礼言って!」

どうやらわたしは、仕事中に貧血かなにかで倒れたことになっているらしい。
思わぬイケメンの訪問に、テンションの上がるお母さんに言われて、しぶしぶ頭を下げる。
原因は、この人なんですけども。

熱心に夕飯を食べていけという、お母さんの申し出を丁寧に断り、店長は帰る前にわたしにだけ聞こえる声で囁いた。

「お店、やめるなら早めに言ってね。美優ちゃんいなくなると大変だから」



・・・この人はこういう人。




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