大好きだった人-23
小さく喘ぎながら、さらなる快楽を求めて開き始める脚。
負けたくない、でも欲しい。
理性に反してコイツを求め始める身体。
「玲香、車ん中行くか?」
塁も少し荒い息を耳元に吹き掛けながら、甘くトゲのある言葉で誘う。
執拗に攻め立てられる弱点に、もはやまともに立っていられることすらかなわない。
薄れていく久留米さんの姿。
押し寄せてくる闇への誘惑。
――もう ダ メ か も ……。
自分の手の甲を血が出るほど噛んで、それをこらえていても、もう一人の自分が暗い世界に引きずり込んでくる。
目の前には、あたしのグロスがついた塁の唇。
これを求めたら、もう戻れない。
でも、戻った所で久留米さんの隣では笑えない。
だったら堕ちるとこまで堕ちてやろうか――。
やけっぱちになって、あたしは頭を縦に振ろうとした、その時だった。