大好きだった人-22
「……っ」
必死で抵抗してるのに、彼はさらにあたしの口の中に侵入してきて、歯列をツツ、となぞる。
逃れようとしてもガッチリ後頭部を抑えつけられ、離れない唇。
乱暴なキスだけど、それがかえってあたしを激しく求めているのが伝わってくる。
ヤバい、このまま根負けしたら……!
なおも留まることを知らない塁の愛撫に、頭が真っ白になりそうだ。
頭によぎっていた久留米さんの姿が、どんどん色褪せていく。
あたしはこのまま、コイツの罠にはまっていくのか……?
「ほら、だんだん身体が反応してきてるぜ?」
唇を離した彼は、いつもの妖艶な笑みをこちらに向けてそう吐き捨てる。
「好きになってもらえるかわかんねえ奴より、オレを選んだ方が絶対幸せになれるって」
彼の指があたしの中に深く入り込んだ瞬間、あたしはたまらず高い声で鳴いてしまった。
あたしの反応にニヤリと笑う彼は、よりその動きを早めていく。
快楽の波にどんどん呑まれていくうちに、さっきの塁の言葉が蘇ってくる。
好きになってもらえるかわかんねえ奴。
わかんねえじゃなくて、好きになってもらえるはずがないのだ。
彼の目には芽衣子さんしか映っていないのなら、あたしを愛してくれる塁に逃げた方が……。