投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

鳳学院の秘密の最初へ 鳳学院の秘密 121 鳳学院の秘密 123 鳳学院の秘密の最後へ

第6章 狂宴-8

 照明がほの明るい程度に落とされ、音響係が扇情的な音楽が流し始める。完全に乱交パーティと化した会場を見下ろし、俺は唯一の観客の反応を窺う。今や紫織さんの顔色は蒼白と化し、身体は小刻みに震えていた。その瞳は驚愕に見開かれ、今度こそ俺は込み上げてくる笑いを抑えることができなかった。


 狂ったような高笑いが響く中、私は眼下の出来事から目が離せないでいた。これまでの人生、一度たりとて我が目を疑ったことなどなかったのに、今目にしている事態は到底受け入れ難いものだった。しかし、どれだけ信じ難くとも現実は無情。階下の生徒達は九条の言葉を合図に、紛れもなく性行為を始めたのだ。
 一体ここで何が起きているのだろう。混乱と焦りに集中力を乱されつつも、必死に現状を認識しようとする。しかし理事長や桜井先生に裏切られ、悪漢の手に落ちたのみならず、学院の生徒達が乱交に至った経緯に、私は何一つ論理的な説明をつけられない。
 「つまり私には人を従わせる力があるのですよ。どうです、私こそ人を率いるにふさわしい立場だと思いませんか」
 ひとしきり笑い終えた九条は、得意気な笑みを浮かべ、私の顔を覗き込んでくる。何もかもわからないことだらけだが、これだけははっきりしている。全ての元凶は、この男であると言うことが。
 裏切り者と化したボディガードに身動きを封じられ、頬に触れてくる手を避けることもできず、ぞっとするような感触に怖気が走る。唯一できる抵抗は、この不埒な無礼者を睨みつけることしかなかった。
 「ふふっ、よもやこの期に及んで麻薬のせいとは仰りますまいな。パラダイス・ロストにそこまでの力はありませんよ。あれはせいぜい快楽に浸らせ、夢見心地にさせるのがいい所です」
 頭の中はパニックを起こしかけていたが、冷静な部分が今の言葉を吟味する。そう、確かに麻薬の力だけでは、今の事態を説明できない。麻薬が無関係とまでは思わないが、それとは別に、この男には人を操る何かがあるのだ。
 ふと、橘沙羅が言っていた洗脳と言う言葉がよみがえる。かつて私はこの概念を否定したが、今はそうと考えざるを得ない。論理的な説明こそできなくとも、この男は何らかの手段で洗脳を行い、人を思い通り支配することができるのだ。
 だとすれば、彼の目的は、私をも洗脳することかしら。こうして拉致された以上、そう考えるのが妥当でしょうけど、なぜこんなものを見せつけるのかがわからない。生徒を辱めることで、私を貶めたいのか。それとも、何か他に目的があるのか。完全に主導権を握られたうえ、相手の思惑がつかめず、不安だけが膨れ上がる。
 一際甲高い声が響き、バルコニーの下では性の狂乱がボルテージを上げる。この、否が応でも性的なことを意識させられる状況下で、私は身動きままならず、危険な男の前にさらされている。我知らず身体が震えてくるも、怯えた表情だけは浮かべまいと気を奮い立たせる。
 「おっと、そう言えばお飲み物も出さずに失礼しました。すぐ召使いに用意させましょう」


鳳学院の秘密の最初へ 鳳学院の秘密 121 鳳学院の秘密 123 鳳学院の秘密の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前