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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第6章 狂宴-7

 「今日は私の誕生パーティによく集まってくれた。志を同じく、共に日本の将来を憂う君達に祝ってもらえることを心より嬉しく思う」
 辺りの空気を震わし、おめでとうございます、九条様の唱和が返ってくる。これまで大勢を従えているという実感はなかったが、これはなかなかに気分が良い。
 「何より今宵は綾小路家の姫君をお迎えすることができた。これで我々は理想に向かって、大きな前進を果たしたと言えよう」
 割れんばかりの拍手が会場を満たす。素晴らしい、これこそ力だ。だが拍手が鳴りやまないうちに、凛とした声が響き渡った。
 「貴方達、目を覚ましなさい!自分が何をしているのか、わかっているのですか!」
 しん、と静まり返った会場からは何の反応もない。それもそのはず、彼等は俺にのみ忠誠を誓う下僕共だ。例え綾小路家の言葉であろうとも耳を貸したりしない。とは言え、これでは少々面白味にかける。最前列にいる男に目配せを送ると、そいつは生徒の代表として立ち上がった。
 「御心配には及びません、綾小路様。我々は九条様の御心に添うよう、誠心誠意お手伝いをさせて頂いているのです」
 息を呑む音が聞こえ、俺は内心ほくそ笑んだ。これでは紫織さんの、麻薬で生徒を操っている論理も成り立つまい。いよいよその考えに止めをさす、決定的な行動を見せるとしよう。
 「ありがとう諸君、君達の忠誠に我が心は震えんばかりだ。姫君も感激のあまり、言葉もない。さぁ、今日と言う日の栄光を、共に分かち合おうではないか。ここにいる君達が、身も心も一つになって愉しめることは何だ?」
 笑いが抑えられず、顔がにやけてくるのが分かる。これから命じることは、品行方正な紫織さんにとって少々刺激が強いかもしれない。一体彼女はどんな顔をするだろう。
 「そう、セックスだ。今宵は親睦を深めるため、肌と肌を合わせ、お互いの全てを知りあうが良い」
 再び会場の雰囲気は一転した。俺の言葉が引き金となり、粘つくような空気がフロアに漂い始めるのを、はっきり肌で感じることができた。どの顔にも、酔った様な締りのない笑みが浮かび、目はぎらつくような輝きを宿している。
 最初に動いたのは、それまでダンスに興じていたペアの一組で、ふらふらとお互いのパートナーに近づくと、一つに重なりあい倒れ込んだ。それは、瞬く間に他の者にも伝染した。
 たちまちフロアのあちこちから、官能めいた喘ぎや嬌声、はては獣じみた呻きが聞こえてくる。自ら命じたこととはいえ、そのあまりの光景に俺は狂気じみた昂ぶりを覚えた。日頃は紳士淑女と呼ばれる連中が、一言命じただけで、理性をかなぐり捨てセックスを始めたのだ。
 フロアの中央では、ドレスの胸もとを引き裂いて、タキシードの男が悶える女の胸に顔を埋めている。立食テーブルに近い壁際では、逆に男に馬乗りになった半裸の女が、上着を脱がせようと、たくましい胸に手を滑らせている。一際甲高い悲鳴が上がったかと思うと、フロアの片隅で床に這わされた女が、二人の男に責められようとしている。パーティの参加者は男の方が多いから、これは必然と言えよう。


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