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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第6章 狂宴-6

 「‥一体いつから理事長は、貴方達と共犯なのですか」
 「共犯とは人聞きの悪い。理事長に限らず、学院の賢明な先生がたは、私の理想に協力してくれているのですよ」
 「どこまで人を侮辱するつもりなの、学院が麻薬の蔓延に協力していると言うつもり!」
 ああ、怒りに満ちた美しい瞳が、俺をまっすぐに射抜く。このままずっと、彼女の視線を独占したい。俺のことだけを見て、俺のことだけを考え、俺のことだけを想う。彼女の全てを俺のものにしたい。
 その瞳が突如驚きに見開かれる。隣室に控えさせていた女が絶妙のタイミングで姿を現し、彼女を混乱の縁に追い込んだようだ。
 「誤解ですわ、綾小路さん。直哉様の御志は、もっと高尚なものですよ」
 穏やかな口調で諭すのは、紫織さんもよく知る人物だった。見慣れた人物が、この場に現れるなど予想だにしていなかったのか。思ったよりショックは大きいようだ。
 「先生‥、貴方が、どうして‥」
 純白のドレスをまとい清楚な雰囲気を湛えた桜井先生は、愛しげに俺の肩に寄り添ってくる。その顔には、いつもと変わらぬ優しげな笑みが浮かんでいた。
 「どうしてって直哉様は将来日本をお導きになる素晴らしいお方、協力するのは教師として当然の役目ですわ」
 「‥そんな、先生までが不正に‥」
 震える声はほとんど聞き取れなかったが、あくまで紫織さんは、理事長や先生が悪事に加担しているものと思いたいらしい。もう少し柔軟な思考を持ってほしいものだが止むを得ない。彼女にはもう少し驚いてもらうとしよう。
 「どうやらまだ信じて頂けないようですね、では、ここに集まっている者達に尋ねてみるとしましょう」
 ボディガードに合図を送り、俺は桜井先生を伴ってバルコニーへ進み出る。階下では上流階級に相応しい、優雅な宴が繰り広げられていた。緩やかな音楽に合わせ、ワルツに興じるペアの姿や、楽しげに語り合う男女の姿。一見何の変哲もないパーティだが、これは見せかけのものに過ぎない。捕われの姫君が同じくフロアを見渡せる所まで引き立てられると、俺は威厳に満ちた声で呼びかけた。
 「諸君」
 会場の雰囲気は一転した。音楽が鳴りやみ、ダンスをしていた者はその場に立ちすくみ、立食席にいた者たちもおしゃべりを止め、辺りは嘘のように静まり返った。パーティの参加者達は、こちらから良く見えるようフロアの中央に集まると、男も女もその場に跪く。そして、見えない指揮者に操られるかのよう、彼らは一斉に主の言葉に応えた。
 「はい、九条様」
 学院で教育を施した九十四名の生徒が、一斉に傅く様は壮観だ。隣では紫織さんが、青褪めた顔を階下に向けている。これだけの生徒が従う姿を見せつければ、俺の力を認めざるを得まい。いささか芝居じみた身振りを交え、階下の下僕共に声をかける。


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