第28章 絶対服従よ。約束できる?-1
意識を取り戻した綾乃は、約束通り思い止まったものの精神の安定を完全に失っていた。誰より真面目で優等生な綾乃だけに自分のしたことを受け止められず自己崩壊しそうになっていた。昴は綾乃の心を支えきれず、ひたぎの元へ綾乃を連れて行くことにした。
「綾乃は狂ってなんかいない!それだけ思いが強かっただけだよ。綾乃がそれほどの思いを持っているのなら、ひたぎと会って話そう・・・ひたぎが2番目を許すと言うのなら、僕は綾乃に傍にいてほしい・・・」
ひたぎがそれを許すとは思えない。それどころか最悪の事態さえ考えられる。しかし、綾乃の心を支えるには、それしか方法はなかった。
ほどなくして、ひたぎの家へ着き、インターフォンを押すとひたぎが姿を現した。
二人の姿を見ても、ひたぎは表情一つ変えず、真っ直ぐに昴に歩み寄った。
「ぐをおおおおおお!」
ひたぎが表情一つ変えずに、昴の胃袋をえぐるように蹴り上げた。昴が壊れた人形のように崩れ落ちる。ひたぎは、地面でもがき続ける昴に目もくれず。綾乃に声を掛けた。
「綾乃、お茶でもしながら話しましょう」
「あの、三蜂さん・・・」
「この男のことならいいのよ。昴、あなたはここで待っていなさい」
ひたぎは、丁寧に綾乃を気遣いながら部屋へと案内し、暖かい飲み物を勧めた。
「大丈夫よ。毒など入っていないから安心して飲んでちょうだい」
「三蜂さん、私・・・」
「ひたぎでいいわ・・・話して、くれるわね?」
「ごめんなさい。でも、ひたぎさんの邪魔をするつもりはないの。私はただ2番目になりたかった・・・」
「昴とどこまでしたの?」
「本当にごめんなさい。キスをして・・・八蜜くんの前でオナニ−を・・・」
「昴の体には触れていないの?」
「私、ひたぎさんに憧れていて・・・それなのに、八蜜くんを好きになって、どうしようもなくて・・・八蜜くんを騙して、部屋へ招き入れて、いけないことをしようとしたの・・・手を伸ばせば届くところに八蜜くんの体があるのに触れられなかった。八蜜くんの体に跨がって、強引に思いを遂げるつもりだったのにそれができなかった」
「本当ね?」
「ひたぎさんに嘘なんてつきません」
「そう・・・繋がったりしていたら、二人とも命はなかったわよ。でも、そんなことにはならないと思っていた。思っていた通りよ・・・綾乃、こっちに来なさい。」
ひたぎの言葉に綾乃の体が自然と動き出す。綾乃がひたぎの傍に座る。
「あっ!」
ひたぎの唇を奪われ綾乃が喘ぐ、開いた唇からひたぎの舌が滑り込む。
「ん、んんん・・・ひたぎさん・・・」
「2番目なんて駄目よ。私の1番になりなさい」
「ひたぎさんの・・・1番?」
「そうよ、綾乃は三蜂ひたぎの1番目の女。ずっと、私の傍にいなさい」
「ああ、ひたぎさん・・・」
「気付いていないとでも思っていたの?あなたは体が火照るほどに熱い視線を、ずっと私に向けていたのよ。そして、私が昴に近づくと昴を睨むような目で見ていたわ。あなたが昴に告白しても、ふられても諦めない姿にも驚きはしなかった。でも、そうしているうちに昴を本当愛しはじめてしまった・・・」
「ああ、そうよ、ひたぎさんの言う通り。本当にごめんなさい」
「私の元へ帰っていらっしゃい。それで良いわね?」
綾乃は、はにかみながらキスを返すことでひたぎに答えた。
「綾乃、言葉にしなさい!」
「ひたぎさんを愛しています。ひたぎさんの彼女にしてください」
ひたぎが綾乃を抱き締め、二人の舌が激しく絡み合う。
「絶対服従よ。約束できる?」
「綾乃はひたぎさんの奴隷として服従すると誓います」
「そう・・・了承する前に、綾乃に罰を与えなければならないわね?」
「・・・・・」
「遠回りをして、私の男に勝手に手を掛けようとした、その罰よ!」