こ-2
「どこかにいい男でも落ちてないかな」
「のぞみは条件が高すぎるのよ」
お昼に社員食堂で同僚の久美に話せば鼻で笑われる。
「この会社の社員は条件としては高物件よ!」
「高物件ねぇ・・・・・」
「後は見た目と性格をチョイスすればいいんじゃん」
一流企業の社内の男を久美は高物件だと主張する。が・・・
「久美だって彼氏は社外じゃん」
いい加減な意見はやめてよね。
自分は学生時代から付き合ってる彼がいるけど
この会社より、会社としてのレベルは落ちるところに勤めている。
私の場合も会社の名前が条件に入ることはない。
久美と話をしていて迂闊にもロッカーのカギを落とした。
拾おうとしたその前に、さっと誰かの手が落ちてきて
そのカギを拾ってくれた。
「はい。どうぞ」
「あ・・・ツートップ・・・」
「は?」
拾ってくれたのが経営管理部のツートップと言われるうちの一人、山田さんだった。
思わず口から出た「ツートップ」に山田さんが顔をしかめた。
「いえ。ありがとうございます」
山田さんは私の首から下がっているネームプレートを手にとって
「新田きぼう?さん?」
「のぞみです。希望と書いてのぞみと読みます」
「綺麗な名前だね。のぞみちゃん、はい、鍵」
「・・・・ありがとうございます」
いきなりちゃん付けで呼ばれた!
「じゃぁ、急ぐからまたね」
またね?またねって何よ。