余韻-1
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龍とミカの身体は動かなくなった。しかし二人の息はまだ荒い。
龍と繋がったミカの谷間から、どくどくと白い液が溢れ出ていた。
「龍、おまえもすごいな。量が……。どんどん溢れてるぞ。さっきもあたしの口にあんだけ大量に出したくせに」
「って、父さんもでしょ?」龍の顎から汗がぽたりとミカの首筋に落ちた。
「ああ。いつも中出しされた後はシーツを取り替えなきゃなんない」ミカは笑った。「おまえも真雪の中に出した後はそうなのか?」
「俺たちは、中に出すって時はバスタオルを二枚ぐらい敷いてやるよ」
「へえ。用意周到だね」
「そのまま抱き合って眠りたいしね。シーツが濡れてると、気持ち悪いじゃん」
「こんどあたしたちもそうやってやろう。いいこと聞いた」
「お勧めですよ、母上」
「それにしても」龍はミカの顔をしげしげと見た。
「なんだ?」
「すごいテクニックだった……俺、二度もイかされるなんて思わなかったよ」
「ふっふっふ……」
「わざとやってたの? あれ」
「おまえも知ってるだろ? 必殺『昇天ダブルスクリュー』」
「あれがそうなの? ケン兄(健太郎)を快楽の海に突き落としたっていう」
「その通り」
「もう気が遠くなりそうだったよ。尋常な気持ち良さじゃなかった」
「そうか。そりゃ良かった」ミカはにっこりと笑った。
「そういうお前だって」
「え? 何?」
「真雪から聞いてはいたけど、お前の抱擁はハンパないな」
「抱擁?」
「お前の腕に抱かれただけでイきそうになる」
「そうなの?」
「ああ。真雪も言ってた。聞いた時はほんとかよ、って思ったけど、ほんとにそうだった」
「ふうん」
「何だよ、自覚ないのか?」
「そんなこと考えたことないよ」
「何て言うか、抱く力も、温かい手の感触も、撫でる場所も全部ツボ。これ以上のものはない、っていう気持ち良さだったぞ」
龍は頭を掻いた。
ミカは龍の目を見つめた。「ありがとうな、龍」
「満足させられたかな? 俺。母さんを」
「もちろん。でも、あたし、途中からおまえが龍なのかケンジなのか区別がつかなくなってたよ」
「え? そうなの?」
「中に入っている感触が、全く同じ」
「感触?」
「動き方も、身体の温かさも、呻き声も、それに、」ミカは龍の顎にキスをした。「出し方も」
「出し方?」
「弾けるように中で噴き出すのがわかるんだ。親子なんだね、やっぱり」ミカはひどく嬉しそうに言った。
「とりあえずは合格ってことかな」
「もう完璧だ。おまえを息子として愛し直せた。同時にケンジへの想いも強くなった気がするよ。あたしこそ、いろいろ無理言って悪かったな。龍」
「気にしないで。それより、母さんの身体、病みつきになりそうだよ」
「そうか。またケンジと取り合いになるのかな」
そして二人はまた熱く深いキスをした。
しばらくして口を離したミカが言った。「龍」
「うん?」
「抱いて。また、きゅうって」
「いいよ」
龍はミカの背中に腕を回し、ゆっくりと抱きしめた。
ミカは声にならない喘ぎ声を上げ、ため息をついて、目を閉じた。