告白......-1
「あっ!香澄さん?何してるんですか?」
朝起きて廊下に出るとキッチンで物音がするので覗くと香澄さんの姿が見えたので声をかけた。
「見てわからないか?朝食の準備だ!」
「えっ!?」
「なんだ?その顔は?とてつもなく失礼な顔だぞ!」
「だって....香澄さん....料理出来たんですか?」
「出来ないんじゃない!しないだけだ!今日は仕方ないだろ!紗弥香も梓も出来ないんだから!」
「それもそうですね....あっ!布団を掛けていただいてありがとうございます。」
昨日は毛布にくるまって寝ていたのに、起きてみると布団が掛けてあったからだ。
「あんな所で寝てると風邪をひくだろ!ちゃんとベッドで......」
「亜梨紗のベッドで一緒に寝ろと?」
「あっ!さすがにそれは出来ないか......」
「はい......」
「昨日のあれを見てしまうと今さらって気もするけどな!」
「昨日のあれが何か追求はしませんが....覗きは犯罪です!」
「あんな所でいちゃついているお前達が悪い!」
「それを言われると返す言葉が......」
「ハハハ....そう思うなら少しは自嘲しろ!紗弥香が心配してたぞ!外でもいちゃついていたんだって?」
「スミマセン....以後気をつけます....」
「ところで、早いな?休みなんだろ?ゆっくり寝てればいいのに!」
「バイトが入っているんです!今日から14日までの三日間、バイトといっても叔母の店を手伝うだけですけどね!」
「叔母さんの?」
「はい!ケーキ屋をやっていて....結構評判がいいんですよ!叔母の店のチョコ!」
「もしかして、"天使の口づけ"の店か?」
「はい....そうですけど......」
「私の周りでも評判になってるよ!チョコレートの魔術師が作るチョコ!特にザッハトルテが最高だって!」
「チョコレートの魔術師ですか......」
(俺が作っている事は黙っておこう......)
「なぁ?叔母さんに言っておいてくれ!期間限定じゃなくて通年販売にしてくれって!」
「は..はい......」
「もしかして、期間限定じゃないといけない理由があるのか?」
「魔術師の気まぐれだと思います......」
「無責任な魔術師だな!」
「そうですね......もしかして香澄さんは甘い物が好きなんですか?」
「ああ!大好きだ!」
そう言って笑う香澄さんを見て
「香澄さんも女性だったんだ......」
思わず呟いてしまった。
「なんか言ったか?」
香澄さんが睨んだ。
「いえ!別に!」
慌てて答えると
「そうか?物凄く失礼な言葉が聞こえた気がしたが......」
「き..気のせいですよ!」
「そうか?ならいいや....」
そう言って笑った。俺はホッと胸を撫で下ろした。
「ちゃんと朝食を食って行けよ!」
「えっ?俺の分もあるの?」
「あたりまえだろ!ホラ!」
俺は香澄さんが用意してくれた朝食を口にした。
「えっ?」
「ん?どうした?」
「これ本当に香澄さんが作ったんですか?」
「それはどう言う意味かな?」
「香澄さんは料理が出来ないイメージがあったんで....スミマセン....」
「いや....別にいいよ....」
香澄さんは笑っていた。
「あっ!そうだ!亜梨紗の事あまりからかわないで下さいね!」
「ん?まあ私は別にいいけど....梓達にはそんな事言わないほうがいいぞ!」
「えっ?」
「亜梨紗に彼氏が出来た事、やっかんでいたからな!」
「それも気をつけます....ところで、時間大丈夫なんですか?」
「あっ!」
香澄さんは慌てて二人を起こしに行った。