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Betula grossa
【ラブコメ 官能小説】

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告白......-2

「あれっ?純は?」
朝目覚めると、隣に寝ていたはずの純の姿はなかった。キッチンを覗くと姉達が朝食を食べていた。
「ねぇ?純は?」
「アイツならさっきバイトがあるとかで出て行ったぞ!」
「そっかぁ....」
香澄さんの言葉にがっかりしていると
「あんたねぇ....純君の事を聞く前に挨拶が先でしょ!」
姉が呆れたように呟いた。
「....おはようございます......」
「まぁいいわ....ところで昨日..純君は優しくしてくれた?」
「えっ!?」
「幸せそうな顔しちゃって....まだ高校生なんだから気をつけなさいよ!」
「うん....」
「まったく......ねぇ亜梨紗....純君にあの事..話したの?」
「あの事?」
「卒業したらすぐにウィーンに行く事!」
「....まだ......」
「言い出しにくいって気持ちはわかるけど....後にすればする程言えなくなるわよ!」
「わかってる!そんな事!」「亜梨紗....」
思わず叫んでしまった私に姉は戸惑っているみたいだった....梓さんも香澄さんも......
(そんな事言われなくてもわかってる....でもウィーンに行く事よりもっと辛い事を話さないといけないから......純や茉莉菜を裏切った罪を話さないといけないから......今は......言えない......今ぐらいは幸せでいさせて......)
たぶん私は泣きそうな顔をしていたのだろう......
「あの......ゴメン......謝って済む事じゃないけど......」
梓さんが神妙な顔をしていた。
「本当にゴメン....軽はずみな事をしてしまって......許して欲しいなんて言えないけど......亜梨紗が望む事......私が出来る範囲でなんでもするから......」
「だったら......純のお姉さんになって....純を支えて....純が潰れてしまわないように.......」
「えっ!?」
「ううん....なんでもない......」
(言いたい事を言ってウィーンに逃げて行く私の代わりに純を支えて....)
なんて言えるわけがなかった。リビングに戻って、スマホを見ると純からメールが届いていた。

[ゴメン....先に行くね!寝顔、可愛かったよ!]

「バ..バカ....何言ってんだよ!」
純のメールに思わず赤面してしまった。

その日、叔母はコンサートの準備で忙しく、私にまで手が回らず、私は夕方前に帰る事が出来た。時間が空いたので、純がバイトしている店に顔を出した。明日持って行く、叔母のコンサートスタッフへの差し入れを買うため....との言い訳をして....
「あら?いらっしゃい!亜梨紗ちゃん!」
和紗さんが笑顔で迎えてくれた。
「純なら奥にいるわよ!呼んでこようか?」
「いえ....今日はスタッフに持っていくためのお菓子を買いに来たんで....」
「本当にいいの?少しぐらいはいいよ!休憩時間をあげても!」
「本当ですか?」
私は相当嬉しそうな顔をしていたのだろうか、そんな私を見て
「亜梨紗ちゃんは正直ね!」
和紗さんは笑いながら
「純!亜梨紗ちゃんよ!ちょっと来て!」
厨房に向かって叫んでいた。
「なんだよ!忙しいのに!」
純が店に出て来ると
「あっ!亜梨紗来てたのか?」
「うん....」
「今日はもう終わったの?」
「叔母さんは明後日のコンサートの準備で忙しいから....後は自主練習....」
「ねぇ!亜梨紗ちゃん!それならここで弾いてくれない?」
和紗さんが私の言葉を遮るように言った。


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