第5章 教育-31
彼女!?
怒りに我を失いかけていても、その言葉を無視することはできなかった。洗脳や売春倶楽部の謎が明らかになる中、最後まで引っ掛かっていた疑問は、やはり最悪の想定が当たっていたことになる。
「‥あんた、まさか綾小路先輩を」
「ああ、そうだ。学院支配の最終目的は、紫織さんを俺のものにすることさ。当たり前だろ、今、日本の頂点に登りつめるのに、綾小路家の力を取り入れる以上の事があるか?それにだ、彼女の様な優れた女性は、俺にこそふさわしいというものだ。ふふ、あの美しい姫君が身も心も捧げ、全てを尽くすと言うのは素晴らしいことじゃないか」
冗談じゃない。そうでなくてもこいつは悪魔の力を持ってるのに、この上綾小路家の権力なんて手に入れたら、日本の将来はとんでもないことになってしまうわ。それに、あのしおりんがこんな奴の前でひれ伏すなんて考えたくもない。
「万全を期すため、学院の支配体制が整うまで待つつもりだったが、お前らのおかげで計画を前倒しすることになってな。既に舞台は整えてあるが、お前達にも一役買ってもらうことになるぞ」
不吉な笑みを称え、九条は紫苑を押しのけ立ち上がる。彼女の口で愛撫された一物は、怒張して天を仰いでいた。あたしは蛇に睨まれた蛙の様に、身じろぎ一つできなくなった。奴の瞳に浮かんでいるのは、獲物をいたぶる肉食獣の好奇の眼差しだった。
こいつ、あたしを犯す気だ!
カタカタと、自分の歯の根が合わなくなっている音に気付いた時には、奴はあたしの後ろに回り込もうとしていた。先程までの怒りが嘘の様に消え、冷たい恐怖が胸に広がり、絶望が心を支配する。
‥嫌よ‥
逃げる機会も訪れないまま、こんな奴の慰み者にされるなんて!
込み上げてくる恐怖と焦りに、頭がおかしくなるような恐慌に陥る。
「さて、無駄話もこの辺でよかろう。そろそろお前も俺の女になってもらおうか」
無遠慮な手が腰に添えられ、制服の上からなぞるように下がっていく。悲鳴を上げそうになるのを、あたしは必死で堪えた。こんな奴に怯えてるなんて思われたくない。
でも、怖い。怖いよ。今まで必死で押し隠していたけど、あんな風に自分を変えられちゃうなんて、怖くて堪らない!
「そうだな、お前はもう少し男に従順になるよう教育してやるか。その生意気な口は癇に障るが、身体の方はなかなかだからなぁ」
‥嫌‥‥嫌よ、こんなの嫌ぁ!
恐怖に突き動かされ、あたしは必死で逃れようとした。でも、身を起こすことすらままならず、抵抗らしい抵抗は何一つできなかった。九条は容赦なくスカートをまくり上げると、ヒップに手を這わせる。
「ふふ、いい加減人形みたいな女を抱くのも飽きが来てるんでな。お前はこのまま可愛がってやるぜぇ」