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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第5章 教育-22

 「いけませんわ、沙羅さん。直哉様にそのような口をお聞きになるなんて‥」
 「そうよ、直哉様の悪口は許さないよ」
 二人は示し合わせたようにあたしを責め、その口調は真剣そのものだった。いつも部活で無茶を言うと、こうやって二人に怒られたものだが、今の状況では悪い冗談にしか思えない。
 「な、何言ってるのよ、ねぇ、お願いだから正気に戻って!」
 「あら、正気も何も、私達はいつも通りですわ」
 「セァラ、あんたこそいつまでもおかしなこと言ってると、いい加減怒るよ」
 これが洗脳なの?今朝まで親友だった二人は、今や完全に九条の手先となっている。それもまったくの別人と言うわけでなく、本質的なところは何も変わらないのに、九条に従うことだけ何の疑念も感じていない。こんなことが本当に学院全体で起きてるって言うの?
 「あんた、あたしの友達に何したのよ、一体何したって言うのよ!」
 「何も。こいつらは俺の偉大さを知って、服従を‥」
 「嘘っ、あの変な機械で洗脳したんでしょ!」
 あたしはさっきまで瀬里奈が座っていた、隣室の怪しげな椅子に目を向ける。しおりんは医務室で薬がどうのと言っていたが、瀬里奈をおかしくしたのは、あれが原因に違いない。SF映画に出てくるような洗脳を本気で信じていたわけじゃないけど、新城先輩にインテリ眼鏡、そして紫苑、瀬里奈と、立て続けに従順になった姿を見せられては、疑う方こそ難しい。
 「なんだそれは、インタビューのつもりか?」
 今や余裕たっぷりの九条は、椅子にふんぞり返り、せせら笑いを浮かべている。手招きで呼び寄せられた紫苑と瀬里奈は、椅子の両脇に侍り、貴人に仕える召使いの様に畏まっていた。
 「面白い、せっかくだから応じてやろう。だが洗脳と言うのは気に入らねえな。ここで行ってるのは教育だ。この九条直哉様の偉大さを教え、素晴らしい主に仕えることの悦びを理解させているのだ」
 「何寝呆けたこと言ってんのよ、あんた馬鹿じゃないの?」
 「ふんっ、口の減らない女だな。だがお前が信じようと信じまいと、この女共は俺の言うことなら何でも従うんだぞ」
 まるで王様気取りの九条は、瀬里奈の方に顎をしゃくると、意地悪げに口の端を吊り上げる。
 「例えばだ。‥おい、お前」
 「‥はい、直哉様」
 「脱げ」
 その非人間的な命令に何の躊躇いも見せることなく、瀬里奈は制服に手をかけ、肌をさらし始める。既に引き裂かれた制服は、容易く肩から滑り落ち、床にわだかまった。息が止まるほど驚いたのは束の間で、気がついた時にはヒステリックに叫んでいた。
 「何してんの、瀬里奈やめて!」


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