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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第5章 教育-12

 男女の秘め事が行われているのを期待していたのだが、あいにく話し声の主は、ソファでくつろぐ三人の男達。いずれも高校生くらいの男子で、うち一人は鳳学院の制服を着ているから、ここの生徒で間違いないでしょう。三年生を示す紫のネクタイを締めているが、いかにもお坊ちゃんと言った、気の弱そうな顔に見覚えはなかった。その隣に座る長身の狐の様な顔をした男は、近隣の進学校、大和高校の制服を着ている。何か冗談めかしたことをお坊ちゃんと話しているようだが、陰険そうな目つきからは、冷淡な印象を受ける。
 そして最後の、不良っぽい男には見覚えがあった。だらしなく柄物のシャツを着崩し、髪をくすんだ金色に染めているのは、家電メーカー大手、三杉電工のどら息子。家電の新製品展示会で何度か顔を合わせたことがあるけど、いつもあたしにいやらしい視線を向けてくる嫌な奴だ。聞くところによると、親も手を焼くチンピラらしいが、あれでも一応跡取りらしい。
 三人はグラスに入った琥珀色の飲み物を飲んでいるが、あれが麦茶なんてことはないわよね。おまけにどら息子に至っては、堂々と煙草をふかしている。別に未成年だからどうのと言う気はないけど、これはこれでスクープだわ。何しろ学院の地下で、他校の生徒が飲酒喫煙をやらかしているんだから、撮っておいて損はない。
 換気口のカバーを慎重に外しビデオを向けると、うまい具合に三人ともフレームに収まる。彼等はあたしに気付いた風もなく、お酒を飲みながらおしゃべりを続け、どら息子は言葉少なに入口らしきドアに目を向けている。そのドアがノックの音を立てた。
 男達の視線が集中するなか、部屋に姿を現したのは女の子だった。あたしはその人物を見て、はっと息を呑む。何故なら鳳学院の制服を着たその女の子は、事もあろうにインテリ眼鏡だったからだ。
 「あっれ〜、早紀ちゃんどうしたの、女の子は〜?」
 「おっ、もしかして今日は副会長様がお相手してくれるのかな?」
 どうやら彼等にとっても、インテリ眼鏡の来訪は予想外だったらしく、坊ちゃんと狐顔が揶揄するような言葉をかける。相変わらず無表情な彼女は男達の前で姿勢を正すと、事務的な口調で、とんでもないことを口にした。
 「はい、本日は直哉様の仰せにより、貴方がたのご奉仕を務めることになりました」
 一瞬の沈黙が場を支配するも、男達はまるで示し合わせたかのように、同時に席を立つ。どの顔も凶暴で下卑た笑みを浮かべ、彼女の身体に無遠慮な視線を注ぐ。
 「そっか〜、早紀ちゃんもついに九条様に飽きられちゃったんだね〜」
 「まぁ、俺達は払い下げ大歓迎だぜ、歓迎するよ、鳳の副会長様」
 浅ましい表情を浮かべた坊ちゃんと狐顔は、涎を垂らさんばかりに顔を近づける。だが、そんな彼等の肩を掴み、今にも手を出さんとするのを制したのは、どら息子だった。
 「待てよ、お前ら。約束は覚えてんだろうな、こいつが来た時の一番は俺だぜ」
 狐顔と坊ちゃんは、まるでお預けを食らった犬の様な表情を浮かべるも、渋々ながらに身を引く。どうやらこの中でリーダー格らしいどら息子は、そんな彼等を後ろに押しやると、彼女のトレードマークたる、細縁の眼鏡に手を伸ばす。


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