どこにでもある ただ ちいさなおはなし1-9
「話?」
少年は少女に聞き返す。
こくりと頷く顔は真剣そのもので、少年はごくりと喉を鳴らした。
「本当は、迷ってるの」
少女が少し俯いて言葉を紡ぎはじめる。
「私、秘密があるの」
服の中から首から下げた大きな黒いポーチを取り出すとそっと中を開けて何かを取り出す。
それは小さな指輪で、ふたつあった。
それを見た瞬間、少年の心臓の鼓動が早くなる。
背中に冷や汗をかき始め、ぐっと知らぬ間に拳を握り締めていた。