どこにでもある ただ ちいさなおはなし1-8
それはまだ少年が小さかった頃。
両親は突然この世から居なくなった。
理由はよくわかっていない。
ただ、帰ったら両親は床に倒れていたのだ。
お別れの儀式を村の人々を行い、誰も居ない家へ帰った。
どこかに本当はいるんじゃないかって思って家中の部屋のドアを開けた。
そこで初めて彼は父親の部屋へ入る。
埃っぽく散らかった部屋。
赤い泣き腫らした目で色々と見て回る。
父はここで何をしていたんだろう。
引き出しの中のわずかなお金。ペン、ノート、誰かからの手紙。
ガタガタと誰も居ない家で、部屋で音を立てて物色していると、そっとどこからか隙間風が入ってふわりと部屋の置くの布が掛かった何かを少年に見せた。
きらりとそれは光り、ゆっくりと少年はそれに近づき布を取った。
そこにあったのは大きな姿見で。
生まれて初めてそれを見た少年はひどく驚いて、次の瞬間、荒々しく布をまた被せた。