どこにでもある ただ ちいさなおはなし1-7
薄汚いベッドの上で男と女は寄り添って寝転んでいた。
サイドテーブルには飲みかけの酒、おかわりをしたボトル。
二人ともほんのりと頬が赤くなっている。
「おにーさん、やらないの?」
薄い布を少しずらし褐色の綺麗な肌と胸をちらりと見せる。
しかし男は天井を見たまま動かずゆっくりと顔だけを女のほうへ向けた。
「話が、あるんだ」
女の顔が曇る。
初めて会ったというのに、何の話だろう。
「また、いや、今度は俺の方が早かったな。こんな時、来なくてよかったのに。でもあの子がそれを望むなら仕方が無い」
男が起き上がり女の顔を覗き込みそっと額に指を当て口を開いた。