どこにでもある ただ ちいさなおはなし1-6 誰も近づけないその島が誰も気付かぬうちにそっと息をし始めていた。 木々に深く覆われたそこのずっと奥に少しずつ少しずつ光が灯る。 風がふわりと吹き、光が満ちていく。 誰も居ないその寂しい島はドクンドクンと脈を打つように段々と生を受け始めていた。 かつてあった、あの、綺麗な国に戻るために、人知れず、そっと。