どこにでもある ただ ちいさなおはなし1-21
学校もおわり家路を急ぐ。今日は特に寒くて早く家の暖炉にあたりたかった。
少しとがった耳に手をやるとそれは氷のように冷たくなっていた。
自宅の辺りまで来てふと違和感を感じる。なんだかとても静かで人が居ない。
寒いから、かな。と、胸騒ぎが起きているのを無理矢理納得させ、止めた足を自宅へ向かって進める。
自宅が見えてきてリリアはそこで体がびくりと震えた。足が止まり固まって動けない。
ドアが開いている。ほんの少しだけれども。
あり得ないのだ。ドアが開いているなど。この永い冬が続いている世界では。