届かない想い-4
「でもいくら俺がそう思っていた所で、彼女は俺の気持ちなんて全く気付いてないから、友達でいるしかなかったんだ。
でも茂が浮気重ねたあげく、彼女を殴ってたって事実を知ってしまったら、もう自分の気持ち止められなくてさ。
彼女を俺のものにしたいって気持ちだけが日増しに大きくなっていったんだ」
「…………」
「ある日、茂と喧嘩した彼女が泣きながら家に来たんだ。
彼女、よっぽどイラついていたのか、酒が弱いくせにビールをどんどん飲んで酔っ払って、茂の文句を言いまくってた。
そうしてるうちに、彼女が“茂にやられた”って服脱いで身体のアザ見せてきたんだ。
バカだよな、男の前で下着だけになってただで済むわけねえのに。
でも身体のアザ見てたら、茂にめちゃくちゃ腹立って……、そんなに他の女がいいなら俺に譲れって気持ちがムクムク沸いてきて……、気付いたら俺、彼女にキスしちまってた。
そして、彼女が酔っ払ってるのをいいことに、そのまま……」
久留米さんは、少し身体を震わせて俯いた。
……後悔しているのかな。
彼の大きな背中がやけに弱々しく丸まっていた。