届かない想い-3
「コイツ……名前は茂って言うんだけど、見た目通り期待を裏切らないっつーか、女遊びがとにかくすごくてさ。
いつも浮気重ねて、彼女にバレては大喧嘩を繰り返してたんだ。
それだけじゃなくて、働かないで酒ばっかり飲むわ、彼女の稼ぎでギャンブルにのめり込むわで、ダメ男の見本みたいな奴だったんだ」
「…………」
あたしは思わず閉口してしまい、写真の中の茂さんを二度見してしまった。
なるほど、確かに遊んでそうな顔してるかも……。
あたしは今まで、塁がいちばんヒドい男と思っていた。
けれど、なんだかんだ言って付き合っている時の塁は浮気はしなかったし、仕事には真面目に行ってるし、だらしないとこと言えばあたしとセフレ関係を続けているくらい。
久留米さんの話を聞いて、上には上がいるもんだと、妙に感心してしまった。
「それでも、彼女はずっと茂のことを好きでさ。
口では別れる別れるって言ってても、なんだかんだで離れられないでいたんだよ。
俺からすりゃ、茂とサッサと別れて俺んとこに来てくれたら、絶対泣かさない自信あったんだけどな」
楽しそうに笑う写真の中の久留米さんは、ずっとそんなことを考えながら3人で過ごしていたのかな。
あたしは、思わず写真の中に写っている久留米さんの笑顔をそっと指でなぞった。