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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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届かない想い-24

自分で言った、“期待させるような真似をしないで”という言葉の通り、久留米さんはあたしをバッサリ切り捨てた。


自分で望んだくせに、もう後悔し始めてるなんて、あたしは一体どうしたいんだろう。


もはや自分で自分がわからなくなってきたあたしはとにかくこの場から逃げることしか頭になかった。


あたしは眉根を寄せ、下唇を思いっきり噛みながらフォトフレームをシートに乱暴に置いて、車から飛び出した。


少し離れた所にある、立体駐車場の階段を目指して一気に駆け抜ける。


振り返るなんて怖くてできなかった。


自分が鳴らすパンプスの足音、切れかかった蛍光灯のチカチカした薄暗い光、どこかで聞こえる車のタイヤが擦れる音。


何もかもが癇にさわった。


非常灯が照らす一際明るい一角にたどり着くと、急いで階段を駆け下りようと湿った手すりに手をついた。


ちょうどその時、階段の横にある古びたエレベーターからチンという音がして錆びついた扉が開いた。


チラリと一瞥すると、デートの帰りと思わしき若いカップルが、仲睦まじく手を繋いで現れた所だった。


カップルは、涙でグシャグシャになったあたしの顔を見て、驚いて顔を見合わせている。


それでも構わずあたしは、錆び付いた階段を駆け降りて行った。




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