届かない想い-21
「それとも、少しはあたしに対して気持ちを持ってくれていたんですか……?」
わずかな希望を抱きながら、さっきより小さな声で訊ねてみる。
決して恋人のように親しい間柄ではないけれど、職場で話すわずかな時間や、メイに会いにあたしの家に寄って、そこで過ごす和やかな時間は、あたしにとって少しずつ大切なものに変わっていった。
たとえ久留米さんがずっと芽衣子さんを想っていても、あたしに向けてくれたあの笑顔、それは本物であると信じたかった。
「それは……」
でも彼は、そのまま押し黙ってあたしから目を反らす。
その沈黙が答えだった。
この人は、あたしに対して気持ちなんて持っていない。
「……やっぱりあたしは部外者だから、久留米さんにとっては、単なる同じ職場の人間でしかないんですよね」
これだけ涙が溢れているのに、出てきたのは自分を嘲笑う言葉だった。
惨め過ぎて笑うしかないや。
「違うよ……」
久留米さんは弱々しい声で否定するけど、きっとこれも彼の優しさのうちだろう。
でも、あたしに対してなんの気持ちもないのなら、中途半端な優しさなんていらない。
あたしはギュッと目を瞑って、涙を絞り出してから、小さく息を吸い込んだ。