届かない想い-20
張り上げられた声に身体が強張り、呆然としているあたしを見て、久留米さんは我に返ったのか、
「……ごめん」
と小さな声で謝ってきた。
でも、あたしにはさっきの彼の言葉が何度も勝手に反芻してしまう。
――ブガイシャ。
いくらあたしの中で久留米さんの存在が大きくなっていっても、彼にとっては、あたしは単なる部外者でしかなかったんだ。
悔しくて握りしめた手の甲に涙が落ちる。
そんなあたしを見て、久留米さんは少し慌てた顔になった。
でも、もう遅い。
彼の本音がはっきりわかってしまったのだから。
「宗川さ……」
久留米さんがなんとか宥めようと、あたしに手を伸ばすけれど、今度はあたしがその手を思いっきり跳ね除けた。
「あたしのこと、好きでもないのなら期待させるような真似しないで下さい!」
涙をボロボロこぼしながらあたしは彼を睨みつける。
「さっきだってそう。
ハナっからあたしのこと拒むつもりだったのなら、どうしてあたしに触れたりしたんですか!」
「…………」
「久留米さんはズルいです。
あたしの気持ちをわかったくせに、そうやって期待させといて、思いっきり突き放して……」
喚くように責め立てるあたしの語調に、彼はもはや何も言えなくなったようだった。