第1章-男と少女--1
男の名は京本拓矢(キョウモト・タクヤ)。
長身でがっしりとした体型で
高校教師を生業としながらも
小説家を夢見ていた。
年は40歳である。
教師とはいえ、幼い頃からひ弱で
どちらかといえば根暗な性格で
いじめられっ子だった拓矢だが
ある日を境に、
その性格は一変した。
他人をいじめ抜き
相手の苦痛な声や
表情に愉楽を感じる。
つまり『sadist』で
あることに気付いたのだ。
それからと言うもの
何人かの女を玩具にしてきたが
誰も皆、長くは続かなかった。
『masochist』だと自覚した女も
少し服従を求めると、
不信感を抱き皆、自分の元から
去ってゆく。
興味があると
口走る女はたいていが
そんなのばかりだった。