ドリンク-2
「じゃあさ、父さんってどういうスタイルが好みなの?」
「スタイル? セックスの時のか?」
「うん」
「ポジションとしては何でもOKだな。上からでも下になっても、バックからでも、立ったままでも座っても」
「へえ」
「真雪はどんなポジションが好きなんだ?」
「彼女もキホン俺と向かい合ってイくのが好きだね。でも、騎乗位はさすがに上手いよ。むちゃくちゃ気持ちいい」
「そうか。真雪は乗馬の名手だからな」
「腰の動きが巧みでさ、それにあの大きなおっぱいが揺れる迫力がたまんないよ」
ミカは笑った。「おまえ、おっぱいフェチだからな」
「父さんのテクニックって、どんなの?」
「あの人のテクニックでどんなオトコもかなわないのはキスだね」
「へえ」
「あたし、ケンジのキスで今まで何度もイかされたもの」
龍は驚いて言った。「え? キスでイけるもんなの?」
「彼の唇と舌は第二の性器、って言ってもいいかも」
「何だよ、それ」龍は呆れたように眉を下げた。
「いや、ほんとだって。マユミも陽子も同じコト言ってた」
「そうなの?」
「ああ。マユミもケンジとつき合ってた頃にキスだけで何度もイったらしいし、陽子なんかも初めてケンジに抱かれた時も、すでに最初のキスで臨界点にまで達したらしいからね」
「すごいね、父さん」
「おまえも伝授してもらった方がいいぞ。真雪のためにも」ミカは悪戯っぽくウィンクした。
「うん。そうする」
「真雪には何か特殊な能力があるのか?」
「何だよ、『特殊な能力』って」
「まあ、おまえは他のオンナを知らないから比べようがないかも知れないけど……」そう言ってミカは眉をひそめ、続けた。「ほんとに知らないんだよな? 他のオンナ」
龍は即答した。「知りませんよ。もちろん」
「偉いと言えば偉いよな」
「何で? 別に普通じゃん」
「だけど、おまえ、今までに相当な数のオンナたちから告白されたんだろ? 手紙や電話やメールやチョコレート、いっぱいもらってたらしいじゃないか」
「真雪以上の人はいませんでしたね」龍は涼しい顔で言った。
「幸せモンだよ。真雪は」
「ま、つき合い始めるの、早かったからね」
「それでもさ、おまえに真雪という恋人がいるって解っていても、モーション掛けてくるオンナもいたんだろ?」
「まあね」
「誘惑されなかったのか?」
「いっぱいされた」
「へえ。どんな風に?」
「中学の部活の時、俺の手を取って、水着越しに自分のおっぱい触らせた子がいた。高校ン時は写真部の暗室でキスされそうになったこともあったね。就職してからは飲み会で抱きついてきて、俺の耳たぶを舐めてきたり……」
「そんなことがあったのか? 初めて聞いた。よくふらふらいかなかったな、おまえ……」
「だって、真雪の唇やおっぱいの方が断然いいもん」
「そうかそうか」ミカは少し呆れたように言った。「で、その真雪のテクで特筆すべきは何なんだ?」
「いつもってわけじゃないけど、真雪の中に吸い込まれて身動き取れなくなることがある」
「吸い込まれる?」
「うん。アレが吸引されて、思いっきり締め付けられる」
「ほほう……」
「それからがすごいんだ」
「どんな風に?」
「その状態で、細かく震える粘膜に蹂躙されるんだ」
「それで、一気にイかされるのか?」
「そう簡単にはいかないのさ。弾け出す直前の状態がずっと続くんだ。もうだめだ、っていう苦痛と絶頂感が身体中を駆け巡る」
「へえ!」
「俺、時々涙を浮かべて謝ってるもん。ごめんなさい、イかせて下さい、って」
ミカは噴き出した。「あははは! そりゃすごいな。確かに」
「父さんも、今夜、やられるかも」龍はウィンクした。
「そうだな。後でどうだったか訊いてみるかな」