すべては必然に-3
「ねぇ?結局あの女の子は誰なの?」
セックスが終わった後、私はしこりを残さないようにズバリと聞いた。
「恩師の娘さん。恩師がずっと具合が悪かったらしいんだけど
俺が電話を持ってないから。やっと探し当ててくれたんだ
俺の変わりようにビックリしてた」
「そっか。汚かったもんね。髭付きの大川さん。でも泣いてたのは?」
「その恩師が・・・一昨日、亡くなったんだ。今日はお通夜だった。
明日のお葬式が終わるまで帰らないつもりだったけど、陽菜が心配で帰ってきた」
そう言いながら私のこめかみにキスをする。
髭のない口元はあっさりしていて、まだちょっとさみしい。
「昔付き合ってたりした?」
そんな私の質問に驚いた顔をして私を見つめる。
「もしかしてヤキモチ妬いた?」
何も答えない私に
「陽菜ちゃん可愛い!」と抱きつく。
「綾乃さんはあぁ見えて結婚してるから」
へぇ〜・・・・
「ひな。もう1回しよう?」
上体を起こして空いた手で私の上半身を
これでもかってほど優しく撫でまわす。
あったかい手が心地いい。
あ〜でも
「ダメ。私、明日忙しいの!大川さんもお葬式でしょ」
「忙しいって仕事が?」
「そう。ほら。例の広告代理店のリフォーム。日参のアポ。朝一なのよっ」
「そっか〜・・・じゃぁ、こうして寝ようぜ」
ぎゅっと私を抱きしめた大川さんは
もう離さないとばかりに、手に力を入れた。
く・・・苦しい・・・
でも、大川さんの満足そうな顔を見たら
多少の苦しさは我慢しようかなって思えた。
これが人を好きになるってことだった。
思い出したよ。山田。