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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第4章 会合-25

 「どうした、資料から先が聞こえなかったぞ」
 戸惑った顔を向けるも、彼女は命令に逆らえない。快楽の責め苦を受けながら、何ともいじましく自白を続けようとする。
 「‥あ、あの、‥資料の中に、DVDが入ってまして‥、それで、わ、私が中を見よっ、くぅ‥、んふぅ‥」
 彼女の身体を苛みながらも決して満足させぬよう、俺は悶える身体を徐々に狂わせてゆく。どれ、次はもう少し可愛い声でさえずらせてやろうか。


 橘沙羅の話は、私を不愉快にさせるに十分な内容だった。売春倶楽部なるものが実在してるなら、予想して然るべき内容だったにもかかわらず、不快な気分が胸にわだかまっていく。
 私とて、世の中が秩序ある理想社会でないことは承知している。国内外における犯罪事情や治安状況は把握しているし、特に貧困地域における若年層犯罪や児童ポルノの実情が、耳を覆いたくなるような痛ましいものであることも知っている。それに比べれば日本の売春など、モラルの低下に基づく金銭的な動機によるもので、富裕社会の悪慣習に過ぎないと思えてくる。
 もっとも女を武器に、あるいは道具として、権力や財力に取り入ろうとする者もある。政財界の裏側には、醜くおぞましい一面があることも、十分理解しているつもりだった。
 だが、それはあくまで理屈のうえでの理解に過ぎず、実際自分の周りで売春に携わる者がいることを知らされるのは、全くの別物だった。しかもこの売春組織は、件の秘密組織との関与が濃厚、と言うより同一組織である可能性が高い。生徒会長として秩序の維持に努めていたこの鳳学院で、背徳の行為が行われていたことに気付かず、あまつさえ他人からその存在を聞かされるなど恥ずべき失態。これでは、無能のそしりを免れまい。
 しかし見方を変えれば、これは組織の実態に迫る有力な手掛かりともなりえる。問題は報道部の彼女達が、情報の全てを明かしてないことにある。
 「それで、貴方がたが入手したDVDを拝見させては頂けないのですか?」
 「えっと〜、すいません、それはお見せできません」
 「では、そのDVDに映っていた女生徒が誰かをお教えください」
 「それは‥、その‥‥」
 「私は包み隠さず、貴方がたに情報を提供しました。その信に応えられないと言うのですか?」
 いつになく歯切れの悪い橘沙羅に業を煮やし、つい言葉がきつくなる。俯いてしまった彼女は、やがて絞り出すような声で弁明の言葉を口にする。
 「本当にごめんなさい、でもこれには個人の名誉が関係してるんです。塩‥、あ、綾小路先輩には申し訳ないですけど、あたし達には大事なことなんです」
 思わず失望が溜め息となって口をつく。彼女達が庇い立てするのは、おそらくその人物が知り合いだからでしょう。その気持ちは分からなくもないが、今は感情に流されることなく事態を大局的に捉え、合理的に解決を図るべきだと考えられないのかしら。それにしても、先程も何か言い間違えたようだけど、塩とは一体何のこと?


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