ラップ-1
日曜日の正午前、新宿に着いて、うろうろしていた。
「ソフトSMなぁ〜・・・。」
SMというものを未だ体験したことが無い。
ビデオで見た事があるくらいのものだ。
『大人のおもちゃ屋』に入ってみた。
初めて入ったが、若い女の子同士で、ローターを品定めしていたり、オタクっぽい若者がリュックを背負ってウロウロしていたり・・・。
「SMコーナー」に行ってみると、縄やら、皮のベルト、仮面等、いろいろ売っているが何を買って良いのか、皆目見当がつかない。
とりあえず、綾子の胸を攻める物を探してみる。
乳首を締める鎖のついた「ニップルクリップ」を一つ、ジェルを一つ、一つのスイッチにローターが二つ付いているものを一つ・・・。
他の物は手に取ってみても、あまりピンと来ないので、一旦外に出て、ビールを飲みながら考えることにした。
縄を買ってみたって、縛り方はわからないし、出来合いの縄も売っていたが綾子の胸の大きさを考えると、それで合うのかどうかも見当がつかない。
「とりあえず、縛らないと、雰囲気出ないしなぁ・・・。」と思って、何気なくカウンターの奥を見ていたら、店員がラップで、何かの瓶の口のところをグルグル巻いていた。
蓋を失くしてしまったのであろうか?
「ラップ!!!」
ビールを飲み干して、勘定を済ませ、100円ショップに向かった。
ラップとハサミをとりあえず、かごに放り込む。
想像がどんどん膨らんできた。
「洗濯ばさみで、乳房を挟むか?」
ちょっと痛そうであるし、跡も残りそうなので、これは止めておいた。
化粧道具の所に行って、小さなブラシを一つ。
以上、315円也。
ビールより安い。
待ち合わせ場所に行くと、綾子はもう待っていた。
十分前である。
「早かったですね。お待ちになりましたか?」
「私も今、着いた所ですよ!」
「お昼は召し上がりましたか?」
「まだです。」
「何か食べましょうか?」
「そうしましょうっ!」
「何が食べたいですか?」
「パスタっ!」
ということで、カジュアルなイタリアンで、ワイン、サラダ、パスタで簡単な昼食を済ませ、コンビニでビールとワインを買って、いざホテルへ・・・。