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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第3章 調査-8

 「えっ、どういうこと?」
 「夏休みに文化棟の改修工事があったのはご存じでしょう。その時生徒会の資料庫を整理したのですが、不明資料がいくつか出てきて、今その確認に追われている所です」
 そう言えば夏休み前、工事がどうとか言ってたような。もっとも休み中は家に帰ってたから何の工事かは知らないけど、少なくとも話の筋は通っている。
 「こういうタイトルのないDVDは実際中身を確認しているのですが、パスワードが必要なものは、貴方が持ってきたのも含めて四枚目です。‥言ってしまえば、余計な仕事を一つ増やしてくれたというわけですね」
 ここまで話して、彼女はちょっとしゃべりすぎたか、と言う風に口を噤む。確かに、こんなに饒舌なインテリ眼鏡は初めてみたわ。
 しかし一体どういうことなの、この話を信じるなら、彼女は全くの無関係と言うことになる。それどころか、売春組織の黒幕は歴代生徒会のいずれか。いやいや、生徒会の押収品と言うこともありうるか。
 「‥ところで、生徒会の資料を勝手に見るのは頂けませんね。未遂ですから処罰はしませんが、次はありませんよ」
 「うっ‥、は〜い、以後気をつけます」
 「じゃあその砂糖水を飲んだら一人にしてくださいません?昼休み中に片付けてしまいたいので」
 すっかりいつもの調子を取り戻したインテリ眼鏡は、慣れた手つきで眼鏡を押し上げ、再び作業に没頭する。あたしは味も分からないまま砂糖水扱いされた珈琲を飲み、席を後にする。
 色んな考えが頭の中をよぎり、頭の中はフル回転。お会計も上の空で、喫茶店を後にする。おかげであたしは自分に向けられた視線についぞ気付かぬままだった。


 授業が終わるなり、私は学院の医務室へと足を向けた。
 一般の高校では保健室に当たる施設だが、学院では生徒の健康管理を重視。養護教諭の代わりに正規の医師を常駐させているのが、医務室たる由縁である。軽度の病気や怪我であれば直ちに診療できる設備が整えられており、重体の場合でも、現在鳳学院を経営する西園寺グループの系列病院に、すぐさま搬送される手筈となっている。
 故に風邪程度であれば医務室で診療され、場合によっては学院内の病室で入院と言うケースもある。もちろん記録管理もしっかりしており、薫が風邪をひいたというのが方便であるかは、確認をとればすぐわかることだ。
 怪我や病気に縁がなく、温かみのあるパステルカラーの壁に囲まれた医務室に入るのは初めてだった。三十代後半の医師、今泉美弥子先生とは予算会議で何度か顔を合わせたことはあるが、私の来訪に驚いた表情を浮かべる。
 「綾小路さん、どこかお加減でも悪いのですか!?」


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