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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第3章 調査-4

 「えっ、金曜日ですか、ええと金曜日金曜日‥」
 薫の不審な態度の原因を究明すべく、私は周辺事情から調査を始めることにした。原因が何であれ、彼女の心変りは、あの日生徒会室で行われた話し合いからとみて間違いない。しかし昨日の様子では、薫に直接聞いても真相はわかるまい。ならば生徒会長、もしくは副会長を問いただしてみるべきだが、彼らも怪しい以上、賢策とは言いかねる。
 そこで当時の状況を少しでも知るべく、薫と同じ寮の生徒に様子を尋ねてみることにした。鳳の学生寮は十人が一つの棟に住んでおり、それぞれ個室を与えられているが、同棟の住人は顔を合わせる機会も多い。誰か話し合いが終わった後の薫の様子を見ていればいいが、とあまり期待せずに声をかけたのだが、思いもよらぬ返事が返ってきた。
 「思い出しました。金曜日と言えば、伊集院さんが風邪をひいた日でございますですね」
 「風邪!?」
 「ええ、何でも急に熱が出て、一晩医務室で預かるって夕食前に通達がきましたでございます‥」
 「薫は朝から調子が悪かったの?」
 「いえ、朝お見かけした時は特にそんな様子は‥、でも風邪ですから、いつひいてもおかしくないかと‥」
 そうかしら。確かに風邪をひいても驚きはしないけど、私が見かけた時の薫は怒鳴るくらいの元気があり、少なくとも病気を患ってるようには見えなかった。
 「それで、薫はいつ戻ってきたの?」
 「土曜の朝には戻ってきたはずでございますです」
 「はず?」
 「はい、何でも家の用事とかで、土日は寮の方におられませんでした。でも月曜の朝にお見かけした時は元気そうでございましたです」
 やはりおかしい。先週末と言えば、伊集院物産がコートジボワールに新設した、新港の落成式が行われたはずだ。高騰を続けるカカオ豆の新航路開発で、会長自ら現地に赴いたという話は聞いているが、風邪をひいた翌日、アフリカの港の落成式に学生の彼女を呼ぶなんて、まず考えられない。
 とは言え、この子が嘘をついているとも思えない。だがそれでは、嘘をついて寮から姿を消したのは薫と言うことになる。
 「‥あの、伊集院さんがどうかしたのでございますですか?」
 「何でもないのよ、ただちょっと様子が変だったから気になっただけ」
 「じゃあやっぱり風邪だったのでございますですね」
 相変わらずおかしな日本語の彼女に礼を述べ、会話を切り上げる。それにしても一体どういうことなの。謎は解決に向かうどころか、ますます深まったわ。
 一つ確かなのは、生徒会室での話し合いの後、薫の足取りが掴めないということ。風邪や家の用事というのは方便としか思えない。やはり何か隠しているのかしら。


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