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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第3章 調査-16

 また、週三回「特別進学講座」と称する、いわゆる塾講義が開催されており、自由参加であるが、部活動より優先してこれに参加する生徒も多い。
 その特別進学講座が開催されているため、今日の図書室は利用者もまばら。古典文学愛読部や経済動向研究部など図書室を利用する常連の部活も不在で、私にとっては好都合である。
 DVD資料などの閲覧を目的とした電子資料室は、書架の列を抜けた、図書室奥の一角に設けられている。ブースごとにパソコンが設えられ、覗いて見ると幸いなことに利用者はおらず、目的の奥から二番目のブースに座る。これから試みることは、このパソコンからしか行えない。
 生徒会時代に電子資料室で作業していた時、この巧妙に隠されたリンクを発見したのは偶然だった。それは生徒会室のパソコンにしかあってはならない、生徒会専用ホームページへのリンク。おそらく過去の生徒会執行部の誰かが、利便性を考えて作ったものと思われる。だがパスワードが必要とはいえ、学内の情報を高いレベルで引き出せるホームページへのリンクが、誰でも利用できる図書室にあるのは危険である。が、私はこれを隠したままにしておいた。学院の為政者たるもの、この位の抜け道が用意できなくては困る。
 もっとも、本当にこれを使う日が来るとは思ってもみなかった。数カ月ぶりに開くホームページを見ながら、私は次の関門へ挑戦する。
 言うまでもなく、このホームページの管理者は歴代生徒会長。生徒会引き継ぎの際、次期生徒会長に管理者パスワードを教え、念のため変更するよう伝えておいたが、はたして九条生徒会長は忠告を聞き入れただろうか。
 管理者ページへのパスワードを入力すると、入室許可の文字と共に、管理者画面に切り替わる。私が不正アクセスをするとは露とも思ってなかったのか、どうやら彼はパスワードをそのままにしておいたらしい。安堵の反面、セキュリティ管理の甘さに腹立たしさも覚えるが、ここをクリアすれば後は簡単。臨時の閲覧許可IDを作成し、学院の情報閲覧権を得る。
 早速健康管理部門の医療記録にアクセスして、薫の診察記録に目を通す。別に今泉先生を疑っていたわけではないが、カルテを見てみると、はたして彼女の言葉通りの記録が載っていた。聞いた話の他わかったことと言えば、経過観察に問題がなかったことと、与えられた薬がPL剤千ミリグラムと言うことだけ。とにかくこれで、薫が本当に風邪で入院していたことは立証された。
 となると、退院後の薫の足取りは、おそらく本人に聞く以外確認の取りようがないでしょう。下調べはここまでにして、後は薫か、生徒会長、もしくは副会長に当たってみる他ないかしら。
 念のため薫が土曜日に出したであろう、外出許可申請書の記録を確認しようと思い立つが、ふと医務室の利用記録歴を開いたところで手が止まる。一見何の変哲もなさそうに見えるが、見ていくうちに私は異常に気付いた。
 「これは‥!?」
 それは疑問から不審へと変わった。薫が入院した前日にも、同じく風邪で医務室を利用している生徒がいた。いや、前日のみならず、二日前も三日前も。異なる生徒が連日医務室で入院しているのだ。さらに記録を遡ってみると、数か月どころか、昨年来からこの通院記録は続いている。学年もクラスもまちまちながら、一週間に平均して三〜四人、それも理由は全て風邪。これはどう考えても不自然だわ。


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