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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第3章 調査-15

 「それで、これからどうするの」
 いつもと変わらぬ口調で瀬里奈が切り出して、少し緊張が解ける。アハハ、とにかく今は無理してでも、普段通りに振舞おう。
 「とりあえず、今のままじゃはっきり断定できる証拠が少なすぎるわ。もう少し調査が必要ね」
 「でも、これ以上私達が調べるのは危険じゃないでしょうか。黒幕が誰にせよ、思っていたより大きな組織のようですし。例のDVDを返した今、もう手を出さないほうが賢明ですわ」
 「ここまで来て引き下がる気はないよ、綾小路が怪しいんなら、まずあいつから調べようよ」
 「それと九条会長もね。紫苑の言い分もわかるけど、違うなら違うではっきりさせないと」
 「はっきりって、どう確認をとる気ですか?」
 「‥売春組織の名前をちらつかせて反応を見てみる」
 あまりいい方法とも思えないけど、あの綾小路前会長相手に、下手な小細工が通用するとは思えない。虎穴に入らずんば虎児を得ずって言うし、やるだけやってみますか。
 「いいわ、でも私も一緒に行くよ。一人じゃ危ないからね」
 「うん、紫苑はもう一度映像を調べてみて。これがどこの部屋だかわかれば、有力な手掛かりになるからね」
 「気乗りしませんが、わかりましたわ。でも、危険だと判断したらすぐ手を引くと約束してくださいね」
 紫苑の懸念は誇張じゃない。もし綾小路家が黒幕なら売春組織の名を口にするだけで十分危険が伴う。
 「じゃ、綾小路紫織へのインタビューは明日の昼休みに決行。人のいる所でやった方が、万一の場合向こうも手を出しにくいからね」
 「了解、じゃ、今日は解散する?」
 「私はもう少し残りますわ、早速画像解析にかかりますので」
 瀬里奈も紫苑も疲れた顔をしてるから、あまり無理はさせたくないけど、せっかくのやる気を削ぐ事もない。あたしは無理しないよう言い残し、自分の部屋へ戻ることにした。
 それにしても今日は色々驚いたわ。インテリ眼鏡の意外な一面や、瀬里奈の衝撃のロストバージン。相変わらず売春組織の正体は闇の中だが、僅かながらも真相に近づいてる実感があり、いつにない高揚感を覚えていた。調査が進めば、明日はもっと真相に近づけるだろう、これこそ報道魂って奴ね。
 意気揚々のあたしは、この時なんでも上手くいくように思えていた。
 そう、机上の空論はいつだって完璧なのだ。


 放課後の過ごし方は生徒によって様々だが、鳳学院においては、学習活動にあてる者が多い。入学するには偏差値七十以上、かつ推薦入学を一切受け付けない進学校だけに、個人の学習意欲は高く、部活動も学習系の文化部に人気がある。心身練磨の為運動部に所属する者もいるが、残念ながら学院側はあまり力を入れておらず、活動実績も芳しくない。昨年女子テニスで、インターハイベスト八まで行った新城選手は珍しい例外と言えよう。


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