キス-5
「すまん、真雪、乱暴してしまって……」ケンジは申し訳なさそうに真雪の肩を離した。
「ありがとう、ケンジおじ。なんだか、あたしの中の罪が、すうっと赦されたような感じがしたよ。とっても素敵なキスだった」
「そうか?」
「うん。龍のキスとケンジおじのキスって、よく似てる。さすが親子だね。龍のキスでもあたし、いつもこうして心から癒されるもん。でも伯父さんのキスの方がやっぱりワンランク上かな」真雪は悪戯っぽく微笑んだ。「あたし、もう、少し濡れてきちゃった……」
「よかった……。ひっぱたかれたらどうしよう、って途中から思ってたよ」
「冷静じゃない。おじさん」
「二組のカップルに見られてた、って知ってたか? 真雪」
「そうなの?」
「俺たち、どんな関係だって思われたかな……」
「だから、恋人同士で通用するってば」真雪は笑ってまたケンジの腕に自分の腕を絡めた。「そろそろ入ろうよ、ホテルに」
「そ、そうだな」