キス-2
食事が済み、適度にアルコールも入って、レストランを出た四人は、いつもとは違う組み合わせの二組に分かれた。ケンジと真雪、龍とミカ。
ケンジと真雪は伯父、姪の関係、かつ舅と嫁の間柄。そして龍とミカは息子と母親の関係だ。どちらもなかなか禁断の香りのするカップルだった。
「じゃあ、あたしたちはそこのホテル」ミカがレストランと同じ並びの、いくらも離れていない、やはり川沿いの『ホテル リバーサイド』を指さした。「なかなかおしゃれでよさそうだろ、龍」ミカは息子の龍に腕を絡ませた。
「う、うん」
「あたしとケンジおじは川向こうの『スターライト』にするね」真雪もケンジの腕に自分の腕を絡ませた。「それじゃ、龍にミカさん、素敵な時間を」
ミカは小さく手を振って応えた。「おまえたちもな、真雪」
「何かあったら電話しな」ケンジがケータイを持った手を上げて軽く振って見せた。
「これ以上何があるってんだよ……」龍は困ったような顔をした。